2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18360204
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
木村 英紀 The Institute of Physical and Chemical Research, 理研BSI-トヨタ連携センター, 連携センター長 (10029514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 学之 名古屋工業大学, 工学研究科, 非常勤研究員 (80332344)
田中 玲子 独立行政法人理化学研究所, 生体防御連携ユニット, 研究員 (50306875)
下田 真吾 独立行政法人理化学研究所, 自律行動制御連携ユニット, ユニットリーダー (20415186)
WOJTARA Tytus 独立行政法人理化学研究所, 身体性と意識連携ユニット, 研究員 (00415093)
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Keywords | 制御工学 / 生体生命情報学 / モデル化 / 脳・神経 / 環境対応 |
Research Abstract |
生物制御原理に迫るための共通概念「複合制御」に基づき,その理論的側面の強化,生物制御の実例に基づく解析,人工物制御への応用を3本柱として研究を遂行した. 理論的側面の強化では細胞レベル・臓器レベル・脳レベルといった異なる制御対象から,タンパク質同士の反応・血液循環・神経細胞活動をそれぞれのレベルにおける計算媒体と考え,生物学の知見を基にそれぞれの制御の共通部分を抽出することで,制御対象に依存しない共通性を,これまでの概念的・抽象的レベルから解析・応用が可能なレベルへ掘り下げることに成功した.この結果を基にすることで,従来は個別に解析が行われてきた生物内の免疫系,循環系,脳制御系といった異なる制御系を共通したものとして考えることが出来るようになり,これまでは非常に困難であった異なる系の相互作用の影響が解析可能となった.その相互作用を統一した数学モデルへと発展させることで,これまでは解明されていなかった疾患原因を,系を超えたところに求め病原の解明に新たな光を当てることになった. 生物制御を原理のレベルに書き下したことで,無機物の計算機を用いて生物制御の持つ重要な能力である「未知環境への適応」が実現可能であることを示し,複合制御に基づいた学習法Tacit learningを用いたヒューマノイドロボットのモデルを用いない歩行学習や効率的な動作の創発に成功した.この結果は家庭内や災害現場など,複雑な環境中で動作可能なロボット開発のための新たな機械学習の基礎となりうると考えている.また複合制御を応用し,人間のもつ制御能力を外部機器によりサポートすることが可能な制御則の構築し,実例として高齢者の転倒を防止するための制御則と実機の開発行った. これらの結果より,生物の持つ未知への適応という能力を制御という側面から解析することで,「制御」の可能性・有用性を広げる大きな一歩になったと考えている.
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Research Products
(10 results)