2006 Fiscal Year Annual Research Report
非破壊試験に基づく塩害劣化損傷度マップを活用したコンクリート部材耐力の評価手法
Project/Area Number |
18360207
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鎌田 敏郎 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (10224651)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮里 心一 金沢工業大学, 環境・建築学部, 助教授 (60302949)
大西 弘志 大阪大学, 大学院工学研究科, 助手 (70283728)
|
Keywords | 鉄筋コンクリート / 塩害 / 非破壊試験 / 構造解析 / 耐力 / 自然電位 / 超音波伝播速度 / 付着 |
Research Abstract |
本研究では,塩害を受ける鉄筋コンクリート部材に対して,各種非破壊試験を駆使して「塩害劣化損傷度マップ」を作成し,これをインプットとした構造解析により部材の現有性能(耐荷性能)の評価と劣化予測を行う手法を開発することを目的としている。具体的には,まず,部材性能(耐荷性能)に与える影響の大きいファクターを抽出し,これらに関わる情報を得るために必要な複数の非破壊試験法を駆使した「塩害劣化損傷度マップ」の作成方法を検討する。続いて,マップの情報をインプットデータとして的確に活用した構造解析(有限要素解析)を行なうことにより部材の現時点での耐荷性能を定量的に推定する手法を開発する。以下に本年度に得られた成果の概略を示す。 (1)非破壊試験データに基づく劣化損傷度マップの作成手法の検討 鉄筋コンクリート供試体を電食による塩害劣化促進試験に供し,鉄筋腐食やそれに付随して発生するひび割れ等の劣化を人工的に再現した。これらの供試体に対して電気化学的手法および超音波法などの非破壊試験を適用し,供試体の劣化損傷度マップを作成した。自然電位,分極抵抗値および超音波伝播速度に基づく劣化損傷度マップは,コンクリートはつり後に確認した実際の鉄筋腐食状況と良い対応を示した。 (2)劣化損傷度マップをインプットとする(耐荷性能推定のための)構造解析手法の検討 上述の劣化損傷度マップをインプットとして,実験に用いた供試体と同条件のモデルに対して有限要素法による構造解析を行い供試体の曲げ試験における力学挙動との比較を行った。解析結果と実験結果とにはおおむね良好な対応関係が見られ,基本的には期待した成果を得ることができた。ただし,超音波伝播速度から鉄筋とコンクリートとの付着損失程度を推定する基準に関してはさらなる検討が必要となっている。
|