2008 Fiscal Year Annual Research Report
流砂系の人為改変による河口周辺汽水域・沿岸域の環境変化と再生手法に関する研究
Project/Area Number |
18360233
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 愼司 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授 (90170753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯部 雅彦 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (20114374)
田島 芳満 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (20420242)
黄 光偉 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (30292882)
鯉渕 幸生 東京大学, 新領域創成科学研究科, 講師 (60349800)
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Keywords | 流砂系 / 河口 / 汽水域. / 水環境 |
Research Abstract |
本研究では,人間生活の直接の基盤である地形と水質環境に焦点を当て,一環境変化に最も脆弱であると考えられる河口周辺の汽水域・沿岸域に注目して流域スケールの実証的な調査分析をすることにより,環境の保全と再生に資することを目的としている.平成20年度には、人為改変が大きく進んだ汽水域・沿岸域の代表的な事例として静岡県馬込川河白域を対象として、現地調査と数値モデルによる分析を行った。馬込川河口域では、周辺の海岸浸食と河口部導流堤の慢性的な被災が問題となっている。流速・水位・濁度の連続観測を実施するとともに、着色砂を投入・追跡することにより、土砂の移動機構を解明した。観測データを分析することにより、潮汐による流れと河川流に加えて、侵入波浪が砕波することによるラディエーション応力の空間分布が流れ場に大きな影響を与えていることが解明され、これらの流れが侵入波浪と干渉して複雑な波・流れ場が発達していることが定量的に記述できた。トレーサを用いた流況観測では、下水処理水の集中大量放流によって河口域に形成される大規模な循環流が明確に把握でき、これが、潮汐・河川水・波浪による海浜流と干渉しながら複雑な流体運動を形成していることが確認できた。また、河口部における過剰堆砂とそれを解決する対策として導入される導流堤などの構造物が、河口域や周辺海岸の環境変化に及ぼす影響を分析した。その結果、馬込川河口域では、上述の循環流の存在が土砂の過剰堆砂を抑制していることが明らかとなり、これを下手海岸への土砂輸送対策と組み合わせれば、河口への過剰堆砂と下手海岸の侵食を同時に解決する対応策となり得ることを議論した。これらにより、河口の閉塞問題で深刻な問題を抱えている全国の中小河川において、河口部へ進入する波浪の営力を活用した土砂輸送対策を提案することができ、より一般的な環境復元手法を具体的に提案した。
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Research Products
(4 results)