2007 Fiscal Year Annual Research Report
総合的環境負荷と費用便益を考慮した貯水池水質浄化施策の最適化
Project/Area Number |
18360237
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
道奥 康治 Kobe University, 工学研究科, 教授 (40127303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢島 啓 鳥取大学, 工学部, 准教授 (10283970)
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Keywords | 富栄義化 / 有機汚濁 / 水質浄化 / 湖沼・貯水池 / 曝気循環 / 費用便益 / 環境負荷 / 最適化 |
Research Abstract |
貯水池の貧酸素化にともなう有機汚濁現象を軽減する方策として曝気循環の水質改善効果を現地観測と水質シミュレーションに基づいて評価した.水質モデルは実現象を再現し得るように構築され,その予測性能を検証した上で,様々な運用シナリオに基づく曝気システムの水質改善効果を評価することが可能となった.水質モデルを用いて水質改善対策の効果を評価するとともに,費用便益と総合的環境負荷を最小化するために,施設の初期投資とエネルギー消費などを反映した運転経費の経済評価を行った.水質改善量と必要経費からなる費用対便益指標を提案した.これにより総合的な環境負荷を最小化し,経済性を考慮した水質改善施策の決定方式を確立することができた.一方で,深層曝気の効率化と省エネルギーをはかるために,季節毎の酸素消費や成層状態に応じて変化する曝気気体の散逸量を考慮した曝気システムの間欠運転方式を多目的貯水池ならびに廃棄物堆積層の浸出水貯留池を対象として実証的に検討した.その結果,エネルギー消費とCO2排出量を最小に維持しながら最大の水質改善効果を発揮するための曝気システムの間欠運転方式を明らかにした.また,栄養塩の吸収源であり有機物の供給源でもある湖岸植生の環境機能に着目し,湖沼・貯水池への環境負荷を最小化するための水辺植生や護岸形態の構成を実証研究に基づき検討した.本研究成果を水質浄化施策へ応用することにより,管理貯水池時代における既存ストックの有効活用を実現できるとともに,流域への環境負荷を最小化するための貯水池操作方式を検討する上での基礎資料を提供することが可能となった.
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