2006 Fiscal Year Annual Research Report
異常出水にも生物生息空間の機能を保有する自己保存型水域環境の創出手法
Project/Area Number |
18360251
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
楠田 哲也 北九州市立大学, 大学院国際環境工学研究科, 教授 (50037967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島谷 幸広 九州大学, 工学部, 教授 (40380571)
久場 隆広 九州大学, 工学部, 助教授 (60284527)
大石 京子 九州大学, 工学部, 助手 (20110835)
山西 博幸 佐賀大学, 低平地研究センター, 助教授 (20240062)
上田 直子 北九州市立大学, 大学院国際環境工学研究科, 助教授 (10433400)
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Keywords | カワスナガニ / 北川 / 生活史 / 幼生 / 遺伝子解析 / 河口域 / プライマー / 生息調査 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は以下のとおりである。 1)北川感潮域縦断方向の生息分布調査 平成16年10月の台風23号による出水の後には8万個体と調査開始以来最も小さい値を示した.その後約1年間は低水準手推移している.平成18年度は個体数が多少回復したが,依然平成15年度と比べると依然低い水準にある.抱卵率は夏期に高く冬季に低くなり,水温の変動と平行して変動している.また,カワスナガニの生息にはD_<50>=16〜32mm程度で均等係数の大きい河床が適しているが,中央粒径のD_<50>=2mm以下となるような砂河床には生息は不向きであることを明らかにした. 2)現地でのメガロパ幼生の回帰分布調査 採取されたメガロパの数は平成18年9月には200個体以上のメガロパが見っかったが,11月にはその半分以下となりとなり,1月はほとんど見っからなかった.北川に生息するカニ類は夏季に抱卵するものが多く,艀化後数週間〜1ヶ月程度の浮遊養成期間を経て回帰してきたものと考えられる.9月の調査では,0kmと5.2kmでの結果に有意な差は見られなかったが,11月の調査では,ほとんどのメガロパが0kmで採取された.また,9月に採取されたメガロパは甲幅が,1mm程度のものが主であったが,11月に採取されたメガロパは2mm程度の甲幅であり季節によって回帰してくる種が季節によって異なっていると思われる。 3)遺伝子レベルでのカニ類幼生の同定技術の確立 今回作成したプライマー(Crab16sL1,Crab16sH1)は16s領域の種の特異性の表れる部分300bp程度を増幅する.平成18年9月に採取されたメガロパの塩基配列を確認したところ採取ポイントによる有意な差は見られなかった.同定が不可能である種が存在するので,今後DNAのリストを増やし,河川感潮域に生息する浮遊幼生期間の生活ステージを推測することを可能にしたい.
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Research Products
(1 results)