2007 Fiscal Year Annual Research Report
異常出水にも生物生息空間の機能を保有する自己保存型水域環境の創出手法
Project/Area Number |
18360251
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
楠田 哲也 The University of Kitakyushu, 大学院・国際環境工学研究科, 教授 (50037967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島谷 幸広 九州大学, 工学研究院, 教授 (40380571)
久場 隆弘 九州大学, 工学研究院, 准教授 (60284527)
大石 京子 九州大学, 工学研究院, 助教 (20110835)
山西 博幸 佐賀大学, 低平地研究センター, 准教授 (20240062)
久保山 弘喜 九州大学, 工学研究院, 学術研究員 (30432868)
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Keywords | 五ヶ瀬川 / 北川 / カワスナガニ / 汽水域 / 塩水楔 / 稀少種 / 生物保全 / 生活史 |
Research Abstract |
宮崎県を流れる五ヶ瀬川水系北川河口汽水域を対象に、自然界の変動を受ける空間にて生物を保全するための方法論を、甲殻類を対象として確立することを目的とした。具体的には、 (1)環境省のデータ不足種であるカワスナガニの生活史を明らかにしえた。幼生期の挙動を明らかにするために、遺伝子による種の識別を可能にした。その結果、幼生は外洋に流れで得ることは少ないことを明らかにした。 (2)対象生物の生活史における耐性や選好性を室内実験にて確認し、数理シミュレーションにより現地の生息状況との整合性を確認することができた。つまり、幼生は塩水楔の先端付近に集積することを示した。これは塩水の進入を利用して上流に上って来ていることを示しており、流動特性をうまく利用していることを明らかにした。 (3)現地観測により生活史における移動特性、生息空間の選好性と幼生の着床特性を明らかにしえた。幼生期は比較的高い塩分を、成熟後は低い塩分を好むことを明らかにした。 (4)対象生物の生息空間の条件を調査し競合種との生息可能域の重複を明らかにした。ハマガニなど環境をうまく利用しているものがほとんどであった。 (5)異常出水に対応するための保護策としてワンドのような出水期に成体そのものが流されないような構造物を作っておくことで、中規模の出水による砂分の輸送が礫層にもぐり身を守っているカワスナガニにとっては最も影響が大きいので、砂分の堆積位置の調整が重要であることを明らかにした。
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Research Products
(2 results)