2007 Fiscal Year Annual Research Report
水環境における消毒耐性ヒト病原微生物の出現と挙動に関する研究
Project/Area Number |
18360252
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
平田 強 Azabu University, 環境保健学部, 教授 (50005493)
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Keywords | 下水 / Cryptosporidium / Norovirus / 遺伝子型 / RT-PCR / ウイルス濃縮 / 陰電荷膜法 / 下水処理 |
Research Abstract |
クリプトスポリジウムについては新たに,N下水処理場の流入下水について調査した。全オーシスト濃度の幾何平均値は17個/Lであり,昨年までに対象としていたS処環場よりも約1桁濃度が高かった。何らかの内部構造が認められたオーシスト547個について単離し,遺伝子解析を試みた。Semi-nested PCRにより目的とするサイズの遺伝子の増幅が認められたのはわずか49個(9%)で,そのうち塩基配列が解析できたのは33個で,合わせて6種類の遺伝子型が検出された。遺伝子型は,C. hominisが21個(塩基配列が解析できたのは33個で,合わせて6種類の遺伝子型が検出された。遺伝子型は,C. hominisが21個(塩基配列が解析ができたものうち64%),C. Parvumが7個(同21%),Cryptosporidium isolated from ferretが2個(同6%),C. meleagridis, C. felis, C. canisがそれぞれ1個(同3%)であった。 ノロウイルスは,N下水処理場(標準活性汚泥法による処理)とH下水処理場(標準活性汚泥法で処理した後,砂ろ過,オゾン処理)について調査した。濃縮回収はいずれも,片山らが開発した陰電荷膜吸着-アルカリ洗浄-酸誘出法とし,cDNAに変換したのちリアルタイムPCR法で走量した。その結果,二次処理で2〜5log除去され,砂ろ過ではほとんど除去されず,オゾン処理では0〜2log程度除去されるとの結果が得られた。 陰電荷膜法のウイルス回収率に及ぼす濁質の有無とろ過水量の影響を明らかにする目的で,下水と二次処理水に大腸菌ファージQβを添加し,ろ液への漏出を調べた。その結果,ろ過水量が多くなるとろ液への漏出が多くなり,原水中のファージを少なくとも90%吸着できる限界ろ過水量は,下水の場合8mL/cm^2,二次処理水の場合40mL/cm^2と求められた。
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