Research Abstract |
旧基準で設計されたせん断破壊型袖壁付き柱を対象とした崩壊実験を行った。中層RC造集合住宅の2,3層の柱を対象とし,袖壁の取り付き方(有無),クリアスパン比を実験パラメータとした。 試験体は実建物の1/2サイズの両端固定式の柱5体とした。集合住宅の梁間方向には耐震壁が取り付くことが多いので,これを考慮して全試験体に直交壁を取り付けた。共通因子は,柱断面寸法=250×300mm,主筋比=0.85%(10-9φ),横補強筋比=0.10%(4φ@100),柱のみの断面積に対する軸力比=0.12,直交壁断面寸法=60×250mm[×2],直交壁筋比=0.22%(4φ@100)とした。袖壁の取り付き方は,柱のみ,片側袖壁付き,両側袖壁付きの3種類であり,袖壁の断面は60×300mm,壁筋比は0.22%(4φ@100)とした。クリアスパン比は,柱のみの場合1.5の1種類,片側袖壁付きの場合1.5,2.5の2種類,両側袖壁付きの場合2.5,3.5の2種類とした。加力にはパンタグラフにより上下スタブの平行が保持される逆対称加力装置を用いた。載荷履歴は,部材角±0.5%,±1.0%,±2.0%を各1サイクル行ったあと,崩壊するまで正方向に押し切ることを原則とした。 実験の結果,1体ではせん断破壊したが,残り4体では付着(滑脱)破壊後にせん断破壊した。得られた知見を以下に示す。 (1)主筋に丸鋼を用いた場合には,計算上はせん断破壊でも,実際は付着(滑脱)破壊後のせん断破壊となることが多い。 (2)付着(滑脱)破壊後せん断破壊する試験体は,せん断破壊する試験体より変形能力が高い。 (3)クリアスパン比が増加すると,最大水平力は減少するが,崩壊変形は増加する。 (4)袖壁付加により,最大水平力は増加するが,崩壊変形の増減には特定の傾向はみられない。
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