2008 Fiscal Year Annual Research Report
脆性的挙動を示す既存鉄筋コンクリート建物の耐震性評価の精密化に関する研究
Project/Area Number |
18360268
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
芳村 学 Tokyo Metropolitan University, 都市環境科学研究科, 教授 (20210768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 孝也 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 助教 (50305421)
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Keywords | 鉄筋コンクリート / せん断柱 / 旧基準 / 崩壊 / 耐震性能 / 構造耐震指標 / 擬似動的手法 |
Research Abstract |
既存の古い鉄筋コンクリート(RC)建物の耐震性を精度良く評価するためには,その中に存在することが多い脆弱なせん断破壊型柱の軸力保持能力喪失(崩壊)性状を把握することが重要である。そこで,平成19年度において,擬似動的手法を用いて脆弱なRC柱の崩壊性状を調べる実験を実施した。対象は旧基準で設計された3層建物とし,最下層を崩壊層として,サブストラクチャ擬似動的手法によってその崩壊性状を検討した。平成20年度はその追加検討として,実験の結果得られた水平力-水平変形関係を用いて,水平変形の片寄り等について検討した。その際,崩壊水平変形に対する崩壊した方向と逆方向の最大変形の比を求め,この比率を「正負最大水平変形比」と定めて水平変形の片寄りの度合いを評価した。また,本実験の結果に,研究代表者らが過去に行なった擬似動的実験および静的実験の結果を加えて,擬似動的実験と静的実験を,崩壊水平変形と崩壊鉛直変形に着目して比較した。検討対象の柱は全24体である。ここでは,崩壊水平変形に対する崩壊鉛直変形の比率に着目して,この比率と水平変形の片寄りの度合いとの対応関係等を評価した。本検討の範囲内では,以下の知見が得られた。(1)擬似動的実験では水平変形が崩壊する方向に片寄る傾向があり,静的実験における単調載荷に近い場合が多かった。(2)擬似動的実験の崩壊水平変形に対する崩壊鉛直変形の比率は0.30であり,静的実験における繰り返し載荷の比率0.16より大きく,単調載荷の比率0.27と近い値であった。これは(1)に対応した結果といえる。
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