2007 Fiscal Year Annual Research Report
近世指図の作図技法・描法の展開に関する研究III-建地割の成立過程とその役割について-
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18360298
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Research Institution | Miyagi Gakuin Women's University |
Principal Investigator |
後藤 久太郎 Miyagi Gakuin Women's University, 学芸学部, 教授 (50086104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 英俊 筑波大学, 人間総合科学研究科, 教授 (30271589)
吉田 純一 福井工業大学, 工学部, 教授 (40108212)
伊東 龍一 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (80193530)
大和 智 筑波大学, 人間環境科学研究科, 教授 (80191352)
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Keywords | 建地割 / 立地割 / 立面図 / 断面図 / 指図 / 江戸時代 |
Research Abstract |
2007年度は、7月27〜29日に研究メンバーが一同に会し、昨年度の成果を確認の上、本年度は、1、中井正知氏蔵建地割(京都市歴史資料館へ寄託)の調査を行うことを決定し、計4度にわたる調査を実施した。2007年8月21日〜25日、2007年9月5〜6日、2008年1月17〜18日、2008年2月7日の調査である。また、当初の計画には無かったが、2008年2月1〜2日に、1の調査した建地割に関連して、同じ建物を描く東京国立博物館・東京都立中央図書館所蔵建地割の調査を実施した。なお当初、2、談山神社、3、善光寺の所蔵建地割調査も計画していたが、所蔵先の都合で実施できなかったので、来年度とすることとなった。 今年度実施した主に1の調査からは、次の(1)〜(6)の描法・技法に関する特徴的な知見が得られた。すなわち、(1)建地割には、作図して作製した図と、他の図を写しの2種がある。(2)作図には、ヘラ線・ヘラ点、針穴、小刀先端を使用したと思われる穴、墨線、墨点(薄墨線・薄墨点も)を駆使する。(3)訂正・修正の技法に、墨線を削る、上から紙を張る方法がある。(4)左右対称、点対称の図には、図の半分あるいは一部だけを作図し、それを写して図全体を作る方法がある。(5)ヘラ線には、下書きや作図のための線の他に、大工の構想案を描くものがある。(6)薄い料紙を用い、影写して作製した図がある。 また、奈良の中西家の描いた東京国立博物館所蔵の建地割には、中井正知氏所蔵図には見られない朱点の使用が認められ、作図技法の違いが鮮明になった。
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Research Products
(2 results)