2008 Fiscal Year Annual Research Report
近世指図の作図技法・描法の展開に関する研究III-建地割の成立過程とその役割について
Project/Area Number |
18360298
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Research Institution | Miyagi Gakuin Women's University |
Principal Investigator |
後藤 久太郎 Miyagi Gakuin Women's University, 学芸学部, 教授 (50086104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 英俊 筑波大学, 人間総合科学研究科, 教授 (30271589)
吉田 純一 福井工業大学, 工学部, 教授 (40108212)
伊東 龍一 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (80193530)
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Keywords | 日本建築技術史 / 建地割・立地割 / 建築図面 / 断面図 / 立面図 / 立・断面図 / 江戸時代 / 室町時代 |
Research Abstract |
2008年度は、所蔵先の都合で昨年度実施できなかった[1]談山神社所蔵建地割(奈良国立博物館へ寄託)について2009年2月5〜6日に調査を行った。また、当初の計画にはなかったが、2008年11月18日に一昨年度に調査した出雲大社所蔵建地割に関連して、同じ建物を描く[2]東京国立博物館所蔵建地割の調査、2008年12月15日に出雲大社造営に関する記録が残る佐草家文書(島根県立古代出雲歴史博物館が借用・保管)の調査を行った。 これらの調査によって得られた描法・技法に関する新たな知見は次の(1)〜(5)で、(1)は永禄2年(1559)の年紀を持ち、現存する建地割の中では最古の部類に入る[1]談山神社所蔵建地割から得られた知見、(2)・(3)は幕府大工頭の鈴木修理が所持していた図を元禄15年(1702)に幕府作事方大棟梁の甲良宗員が写した[2]東京国立博物館所蔵建地割から得られた知見、(4)は[1]と[2]、(5)は佐草家文書から得られた知見である。 (1)水平方向の長い直線を引くときに墨糸を使用しているものがある。 (2)幕府作事方大棟梁の甲良家が写した建地割では、左右対称の屋根部分を棟の位置で二っ折にして、図の半分を箆様の道具で作図し、反対側はこのヘラに基づき図を描いている。 (3)図の訂正・修正の技法として、朱墨を用いて描き直す方法、訂正部分を切り取り裏から紙を貼る方法がみられた。 (4)屋根の曲線の描き方には、短い形板を用いて線を繋いで曲線を描く方法([1]淡山神社所蔵建地割)と、屋根の曲線に合った形板を作製して曲線を描く方法([2]東京国立博物館所蔵建地割)がある。 (5)出雲大社寛文度造替では、図の作製のために「厚紙」や「越前鳥の子」等の紙を購入しており、出雲大社所蔵建地割の料紙は「越前鳥の子」であった可能性が強い。
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Research Products
(3 results)