2006 Fiscal Year Annual Research Report
粒界構造を高度に制御したチタン酸ストロンチウム双結晶デバイスの作製
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18360302
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 剛久 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教授 (20220478)
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Keywords | チタン酸ストロンチウム / 双結晶 / 粒界 / 格子欠陥 / 原子構造 / STEM-HAADF / STEM / HRTEM |
Research Abstract |
ドナー材としてNbを添加したSrTiO_3単結晶を高温において拡散接合させた双結晶試料を作成した。今回作製した双結晶は、互いの単結晶の結晶軸[001]軸に対して6度および8度の回転角度(傾角)を有する。接合条件は、大気中1600℃において10h行った。また、接合面の処理については、最終研磨工程にメカノケミカル処理を施している。接合後の界面は一部を除き固相状態で接合されていることが確認でき、今回用いた接合条件が適していることが確認された。 接合後の粒界を高分解能透過型電子顕微鏡法(HRTEM)および走査透過型電子顕微鏡(STEM)におけるSTEM-HAADF法で詳細に観察したところ次の知見が得られた。粒界部にはバーガースベクトル[010]を有する転位が配列していること、これら転位は必ずしも一原子面上に配置しているわけではないこと、転位のバーガースベクトルは、1/2[001]に分解していること、などの基礎データーを得た。さらに、この転位のコア構造に着目したところ、コアを貫通する原子面については、TiO原子面、Sr原子面の二種存在することを突き止め、また、この二種類のコア構造のために隣接する転位コアが互いに一原子面ずつシフトして配置することが明らかとなった。このいわゆるジグザグ構造は、傾角が8度の粒界においてより顕著である。一方、SrTiO_3のSr, Ti,0原子の空孔生成エネルギーを第一原理計算にもとづき計算したところ、大気中および無添加剤の条件下では、Sr空孔の形成エネルギーが最も低いことが明らかとなった。このような空孔形成エネルギーの違いが粒界構造における転位コアのジグザグ配置と密接に関係するものと考えられる。今後、これらの相関性について研究を進めるとともに、転位コアへの金属元素のパイプ拡散を行っていく。
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Research Products
(4 results)