2008 Fiscal Year Annual Research Report
粒界構造を高度に制御したチタン酸ストロンチウム双結晶デバイスの作製
Project/Area Number |
18360302
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 剛久 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 准教授 (20220478)
|
Keywords | チタン酸ストロンチウム / 双結晶 / 粒界 / 格子欠陥 / 原子構造 / 転位 |
Research Abstract |
本研究の最終年度である本年度では、・傾角が10。以下の小傾角粒界における粒界転位げコア構造の解析、・熱処理に伴う単結晶表面の陽イオン比変化に関する組成、電子状態解析、・研究期間内にとりおこなった研究成果のとりまとめを行った。 ・粒界転位のコア構造の解析;傾角が6。以下の小傾角粒界では粒界転位はa[001](aはSTOの格子定数)をバーガースベクトルに持つ刃状転位であった。これらの転位はいずれも同一の原子面上に配列していた。一方、傾角が増大するに伴い、この刃状転位の構造は転位コアが同一原子面からずれた配列となることが見出された。この構造は熱処理の酸素分圧に依存し、低酸素分圧となるに従って隣接する転位コア間に積層欠陥が導入されることがわかった。この構造変化は粒界転位コアを中心とした陽イオン比の変化と密接に関係するものと考えられる。 ・熱処理に伴う単結晶表面の陽イオン比変化に関する組成、電子状態解析;STO(001)単結晶を高温度において熱処理を行い単結晶表面から内部に向かっての陽イオン比の変化を調べた。その結果、表面からおおよそ50nm程度内部の領域までSr組成が減少している、すなわち、Sr空孔が形成していることが見出された。この空孔については電子線エネルギー損失分光法によって酸素K端の形状変化として明瞭に検出できている。この単結晶表面にて生じる陽イオン比の変化は、結晶粒界においても同様に認められるものと考えられる。上に述べた小傾角粒界における転位コア構造の変化もここに述べたような陽イオン比の変化に起因する。
|