2006 Fiscal Year Annual Research Report
化学修飾された層状コバルト酸化物の結晶構造と電子輸送特性に関する研究
Project/Area Number |
18360308
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮崎 譲 東北大学, 大学院工学研究科, 助教授 (40261606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶谷 剛 東北大学, 大学院工学研究科, 教授 (80134039)
湯蓋 邦夫 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (00302208)
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Keywords | コバルト酸化物 / 複合結晶 / イオン交換 / 結晶構造 / 電荷秩序 / ミスフィット / 超空間群 / 輸送特性 |
Research Abstract |
低温で電荷秩序転移を示すNa_<0.5>CoO_2に関して、種々の温度で粉末中性子回折パターンを測定し、結晶構造の精密化を試みた。電子回折パターンからは、母相(Na_<0.7>CoO_2)の空間群では指数付けできない非整合長周期スポットが認められた。このため、(3+1)次元の超空間群Ccmm(1p0)000を仮定して解析を行ったところ、Naサイトがa軸方向に周期的に大きく変位変調し、b軸に沿ってジグザグ鎖を形成していることが明らかになった。電荷秩序転移温度以下ではCoのb軸方向への変位変調振幅が増大して、Oとの結合距離に大きな違いが見られるようになった。すなわち、結晶学的に等価なCoサイトが、転移以下では、あたかも3価と4価のCoがa軸方向へ濃淡を持って直線的に並んだ1次元ストライプ状の電荷秩序状態を形成しているように、結晶構造が解釈できることが明らかになった。 Na_<0.7>CoO_2を固相イオン交換したSr_<0.35>CoO_2およびCa_<0.40>CoO_2に関して、高分解能電子顕微鏡を用いて構造解析を行った。これらの化合物は[A](A=Sr, Ca)と[CoO_2]の2種類の部分構造からなる複合結晶で、Na_<0.5>CoO_2と同様な斜方晶系超空間群Ccmm(1p0)000を有することが明らかになった。両部分構造は斜方晶のa軸とc軸を共有し、b軸長が異なっており、Sr系の場合は、Srの位置がc軸方向に大きく変位変調していることが明らかになった。
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