2008 Fiscal Year Annual Research Report
化学修飾された層状コバルト酸化物の結晶構造と電子輸送特性に関する研究
Project/Area Number |
18360308
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮崎 譲 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 准教授 (40261606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶谷 剛 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80134039)
湯蓋 邦夫 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (00302208)
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Keywords | コバルト酸化物 / イオン交換 / 結晶構造 / 輸送特性 / 規則配列 / 複合結晶 / 電荷秩序 / 超空間群 |
Research Abstract |
示差走査型熱量計(DSC)を用いた研究により、γ-Na_<0.58>CoO_2相よりさらにNa量が少ないγ-Na_<0.54>CoO_2相において、240K付近に新たな相転移があることが確認された。この結果を考慮した新たなγ-Na_xCoO_2系の300K以下の温度範囲における結晶相図および電子相図が作成された。 種々のNa量xを有するγ-Na_xCoO_2相から、固相イオン交換法によりγ-A_<x/2>CoO_2(A=Ca, Sr, Ba)相の合成を行った。前年度までの本研究により、1価のNaから、2価のAイオンにイオン交換が起きる際には、Aイオン組成が1/2になるものと考えられていたが、イオン交換時に必要量より少ないAイオンを用いると、Naが残存した結晶相(Na_<x-2δ>A_<x/2-δ>)CoO2が得られることが化学分析の結果から明らかになった。つまり、残存Naを無くすためには、母相のγ-Na。CoO_2に対して正確にx/2のAイオンを用いない限り、不可能であることが明らかになった。 同様な方法でイオン交換したγ-Ba_<0.33>CoO_2相の単相試料の合成に成功した。この結晶相は母相と同一の六方晶を保っているが、A=Sr系と同様な長周期構造が認められた。構造中、Ba原子はエネルギー的に安定なBa2サイトにほぼ全てが分布しており、c軸長は他のγ-A_<x/2>CoO_2(A=Ca, Sr)相より長いc=1.221(1)nmであった。帯磁率測定の結果、30Kで反強磁性転移が認められた。以上の結果を基にγ-A_<x/2>CoO_2(A=Ca, Sr, Ba)系の単相組成周辺における結晶相図および電子相図が作成された。
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