2006 Fiscal Year Annual Research Report
ガラスの結晶化による超イオン伝導性準安定相の創製と全固体電池への応用
Project/Area Number |
18360319
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
辰巳砂 昌弘 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (50137238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
忠永 清治 大阪府立大学, 工学研究科, 助教授 (90244657)
林 晃敏 大阪府立大学, 工学研究科, 助手 (10364027)
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Keywords | 固体電解質 / 全固体電池 / リチウムイオン / ガラス / イオン伝導体 / 硫化物 / ハイブリッド / メカノケミカル法 |
Research Abstract |
本年度は、Li_2S-P_2S_5系をベースとするガラスからの準安定相の析出条件を検討し、得られるガラスセラミックスの高イオン伝導化に取り組んだ。溶融急冷法による70Li_2S・30P_2S_5(mol%)ガラスの合成条件について調べ、溶融条件を750℃で10時間と決定した。得られたガラスを280〜360℃で熱処理することにより、通常の固相反応では合成できない新規な結晶Li_7P_3S_<11>結晶が析出して、導電率が大きく増大した。またP_2S_5の一部を、様々な硫化物や酸化物で置換することにより導電率の増加することが明らかになった。例えば3mol%のP_2O_5で置換したガラスセラミックスは、未添加の組成と比べて導電率が向上し、室温で2.7×10^<-3>S cm^<-1>の値を示すことがわかった。ラマン分光や固体NMRを用いてガラスの局所構造について調べた。硫化物ガラスを構成するP_2S_7およびPS_4構造単位に加えて、P_2O_5置換系では硫黄が酸素で一部置換されたPOS_3構造単位が存在し、P_2S_3置換系ではP_2S_6^<4->ユニットが存在していることがわかった。また結晶化により析出する結晶相が、ガラスの局所構造に大きく依存することが明らかになった。以上の結果から、第三成分を導入することによって、ガラスベース固体電解質の局所構造や特性を変化させることが可能である。 また70Li_2S・30P_2S_5ガラスと有機イオンを含むリチウム塩LiTFSIを用いて、無機-有機複合ガラスの合成を行った。熱分析の結果、メカノケミカル法により合成した95(70Li_2S・30P_2S_5)・5LiTFSI(mol%)試料は、LiTFSI自身の融解、凝固に対応する熱変化が観測されず、ガラス転移温度は70Li_2S・30P_2S_5ガラスの値と比べて低下することがわかった。得られた複合ガラスの導電率を調べたところ、硫化物ガラスとほぼ同等であった。今後、リチウム塩の種類や添加量を最適化することにより、ガラス転移温度の低下に伴う導電率の向上が期待される。
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Research Products
(11 results)