2006 Fiscal Year Annual Research Report
高輝度遠紫外発光特性を有する六方晶窒化ホウ素の薄膜合成
Project/Area Number |
18360321
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
津田 統 独立行政法人物質・材料研究機構, 光材料センター, NIMS特別研究員 (10242041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 賢司 独立行政法人物質・材料研究機構, 光材料センター, 主任研究員 (20343840)
谷口 尚 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノ物質ラボ, グループリーダー (80354413)
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Keywords | 六方晶窒化ホウ素 / 遠紫外発光 / カソードルミネセンス / 室温 / 自由励起子 / CVD |
Research Abstract |
六方晶窒化ホウ素(hBN)が深紫外領域で極めて強い自由励起子発光(FE発光)を示すことが近年見出され、新規紫外発光材料として注目されている。しかしながらFE発光性の高品位単結晶hBNは高圧高温(HPHT)合成法でしか得られていないため、結晶サイズは高々数mm角程度に制限されており、大面積合成や常圧・減圧下での合成が必要とされている。このため本研究では減圧下の気相法により深紫外発光性hBN合成を試みた。本年度は、BCl_3-NH_3系を用いた熱CVD(熱分解)法により行い、以下の結果を得た。 1.室温カソードルミネセンス(CL)測定においてFE発光(215nm)が明瞭に観察されるhBNの減圧CVD合成に初めて成功した。基板にはNi多結晶基板を用い、合成は反応炉温度1100℃で行った。この合成温度は、高圧合成法のみならず、高純度pBN(熱分解BN)合成に通常用いられる温度(1500℃以上)に比べても低温である。また、FE発光ピークの半値幅は高圧合成単結晶hBNの半値幅と同程度であった。 2.ラマン散乱測定の結果、hBNに対応する1365cm^<-1>のピークが観測され、その半値幅も高圧合成単結晶hBNの半値幅と同程度であった。 3.明瞭なFE発光は試料全面ではなく表面上に存在する数μmの粒状領域に見られており、1および2の結果と合わせて考えると、この粒状領域は高圧合成単結晶hBNに匹敵する結晶性、純度を有すると考えられる。 4.FE発光強度は合成温度、基板材料に影響を受けることが明らかとなった。特に温度依存性においては1000℃近辺を境として表面粗さ・形状に顕著な変化が現れると伴に自由励起子発光性hBNが得られており、Ni基板表面の部分的溶融やBCl_3によるエッチング反応がFE発光性hBNの生成に関与している可能性があると考えられる。
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Research Products
(1 results)