2008 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性形状記憶合金の構造相転移における電子構造変化の実験的解明
Project/Area Number |
18360330
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
今田 真 Ritsumeikan University, 理工学部, 教授 (90240837)
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Keywords | 磁性 / 金属物性 / 構造・機能材料 / 物性実験 / 放射光物性 |
Research Abstract |
昨年に引き続き、強磁性形状記憶合金の動作メカニズムの元となっている1次の構造相転移および関連する他の1次相転移として金属絶縁体転移にも着目し、相転移前後の電子状態の変化を実験的に解明した。なかでも、バルク敏感光電子分光を軟X線(0.5-1 keV)および硬X線(8-10 keV)を励起光として用いて高精度で行った。軟X線と硬X線では、後者の方が探針深さが深いことと、両者で異なる元素・対称性の電子がより強く検出されることが特徴なので、両者のスペクトルの違いから重要な情報を得ることができた。軟X線励起では最高50-100 meV、硬X線(8-10 keV)励起では最高70-100 meVの高精度で行うことができた。これらのバルク敏感光電子分光を1次相転移温度上下で行うことで、1次相転移上下の電子状態の変化の有無および変化がある場合どのように変化するかを解明することが出来た。一方、軟X線光吸収スペクトル(XAS)を用いて1次相転移を示す物質の各構成元素について電子状態の解明も行なった。スペクトル形状を単独イオンについての計算結果やクラスターモデル計算の結果と比較することで、価数および周りの軌道との混成強度などの情報を得ることができた。なかでも強磁性形状記憶合金についてはXASの磁気円二色性を測定し、磁気光学総和側を用いて各磁性元素の磁気モーメントおよびスピンと軌道角運動量の寄与を実験的に求めることができた。
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