2006 Fiscal Year Annual Research Report
Fe3Ptにおける磁場による可逆的なバリアント再配列の機構解明
Project/Area Number |
18360331
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福田 隆 大阪大学, 大学院工学研究科, 講師 (50228912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
掛下 知行 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (90127209)
寺井 智之 大阪大学, 大学院工学研究科, 助手 (20346183)
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Keywords | マルテンサイト変態 / 強磁性形状記憶合金 / 磁歪 / 双晶変形 / 結晶磁気異方性 / 磁区 / 規則度 / 機械的性質 |
Research Abstract |
規則度約0.8のFe_3Ptは85Kにおいて立方晶の母相から正方晶のマルテンサイト相へと変態する強磁性の形状記憶合金である。このマルテンサイト相は3種のバリアントから構成されており、それらの界面は双晶界面となっている。著者らは、このマルテンサイト相に磁場を印加することによりバリアント再配列が起き、その結果数%に及ぶ巨大磁場誘起歪みが現れることを見出した。また、磁場により誘起された歪の一部は磁場除去により回復可能であること、さらに、これらの現象は変態温度以下の全範囲で起きることをその後の研究により明らかにしてきた。本研究では、Fe_3Ptにおいて回復可能な磁場誘起歪の現れる機構を解明することを目的とした。 まず、磁場によるバリアント再配列は結晶磁気異方性に由来すると考え、マルテンサイト状態における結晶磁気異方性の評価を行った。Fe_3Pt単結晶を育成し、全ての辺が<001>に平行な立方体の試料を作製した。この試料に外部から一軸圧縮応力を加えることにより単一バリアント状態とし、マルテンサイトのa軸方向ならびにc軸方向の磁化曲線を測定し、それら2種類の磁化曲線の囲む面積より結晶磁気異方性定数K_uの値を変態温度(85K)から4.2Kの範囲において評価した。 つぎに、K_uの値と双晶剪断量s(以前にX線回折により求めた格子定数をもとに計算)を用いて、磁場により発生可能な最大の磁気的剪断応力の大きさをK_u/sとして評価した。一方、単結晶試料を用いた圧縮試験を行い、バリアント再配列に必要な双晶変形応力を変態温度以下10Kまでの範囲において求めた。 上記のようにして求めた磁気的な剪断応力の最大値と双晶変形応力を比較した結果、変態温度以下の全温度範囲において、前者は後者より大きいことが確認できた。このことより、Fe_3Ptにおいて、磁場によりバリアント再配列が可能となる理由は、磁気的な剪断応力が双晶変形応力大きくなるためと結論した。
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Research Products
(6 results)