2006 Fiscal Year Annual Research Report
炭化物とナノCu粒子を複合利用したハイブリッド鋼の提案
Project/Area Number |
18360332
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高木 節雄 九州大学, 大学院工学研究院, 教授 (90150490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土山 聡宏 九州大学, 大学院工学研究院, 助教授 (40315106)
中島 孝一 九州大学, 大学院工学研究院, 助手 (30363378)
中田 伸生 九州大学, 大学院工学研究院, 助手 (50380580)
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Keywords | ナノ構造 / 鉄鋼材料 / ハイブリッド / 銅 |
Research Abstract |
軟質粒子分散鋼(Cu粒子)と硬質粒子分散鋼(炭化物粒子)の引張変形挙動の相違 本年度は、引張特性(降伏強度、加工硬化率、延性)に及ぼす析出粒子の性質(軟質or硬質)の影響を明らかにするため、Cu粒子と炭化物粒子をそれぞれ単独に分散させた鋼を製造し、これらの引張変形挙動を比較、検討した。まず、供試材をFe-2mass%Cu組成、Fe-0.87mass%V-0.21mass%C組成に合金設計し、これらの時効処理条件を種々変化させることによって、両鋼種における析出粒子の分散状態(体積率、粒子径)を同程度に制御した。これらの試料を引張試験に供した結果、降伏強度は炭化物粒子分散鋼>Cu粒子分散鋼であり、軟質なCu粒子は硬質な炭化物粒子に比べて析出強化能が小さいことが確認された。これは、両析出粒子と転位との相互作用の違いに起因するものであり、炭化物粒子の場合は転位が粒子を迂回して通過していくOrowanメカニズムにより材料が強化されているのに対して、Cu粒子の場合は転位がそれをせん断して通過していくCuttingメカニズムにより強化されているためである。また、Cu粒子は転位にCuttingされて応力緩和を生じることから、加工硬化率を増大させる効果が炭化物に比べて小さいことも明らかとなった。さらに、Cu粒子と炭化物粒子を同時に分散させたハイブリッド鋼を作製し、その引張特性を調査した。ハイブリッド鋼は高い強度と優れた延性を兼ね備えており、軟質粒子と硬質粒子の分散状態を制御することで強度と延性を自由にコントロールできる可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)