2008 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ材料試験による階層的微視組織の機械的性質評価法の開発
Project/Area Number |
18360334
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
高島 和希 Kumamoto University, 大学院・自然科学研究科, 教授 (60163193)
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Keywords | マイクロ材料試験 / 材料組織 / 機械的性質 / 破壊靭性 / PST結晶 / 界面 |
Research Abstract |
金属材料の機械的性質は、材料固有(intrinsic)の強度に加えて、材料を構成する微視組織要素(粒界、析出物、第二相や母相との界面強度など)の特性に支配されている。したがって、材料を構成しているこのような微視組織要素の機械的性質を知ることが、材料の強化設計を考える上できわめて重要となる。本年度は、昨年度までに確立させた「材料組織からミクロンサイズの試験片を切り出し、その強度特性を計測する手法」を用いて、鉄鋼材料の階層的組織構造と機械的性質の関係の確立を目指した。試料にはパーライト組織鋼を用いて、一つのパーライトラコロニーから収束イオンビーム加工により切り出し、マイクロ引張試験を行った。また、試験片の作製にあたり、引張軸方向とパーライトラメラの方位を変えた試験片を準備した。作製した試験片に対して、マイクロ接着法を利用した試験片把持法を用いることによって引張試験を行うことに成功した。マイクロ試験片の引張挙動は、バルクの試験片と異なり、脆性的な変形挙動を示した。この結果はパーライトコロニーのみでの引張試験では、セメンタイトの拘束がきわめて大きいことを示唆している。また、引張強さは、ラメラの方位と関連していた。一方、本研究では試験片の作製にFIBを利用しており、この場合、わずかではあるがGaイオンが試験片内に注入される。このGaイオンが試験片の力学物性に影響を与えるとも考えられる。本研究で得られた結果は、本試験手法をマルチスケール的な強度設計へ応用する際にきわめて重要となるものである。
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