2009 Fiscal Year Annual Research Report
最新分析技術を駆使した材料中の水素-転位ダイナミックス検出と脆化メカニズム解明
Project/Area Number |
18360336
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
高井 健一 Sophia University, 理工学部, 教授 (50317509)
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Keywords | 水素 / 水素脆性 / 水素トラップサイト / 伸線パーライト鋼 / 焼き戻しマルテンサイト鋼 / 転位 / 原子空孔 |
Research Abstract |
材料中の水素-転位ダイナミックスを検出するにあたり、代表的な高強度鋼である焼戻しマルテンサイト鋼、伸線パーライト鋼を用いて、室温における転位による水素の輸送現象解明を目的とした。引張試験中に試験片から放出される水素を検出するために、低ひずみ速度引張試験機(SSRT)に真空チャンバを取り付け、そこに質量分析器(QMS)を組み込んだ装置を試作した。試験片表面の吸着水起因の水素、および応力を負荷しなくても拡散する水素を除去することで、変形過程における水素放出挙動を解析した。その結果、焼戻しマルテンサイト鋼および伸線パーライト鋼ともに、弾性変形の後半から水素の放出が認められた。これを確認するため、弾性域で繰り返し応力を負荷すると、それに伴って、水素の放出が検出された。さらに変形を続けると、降伏点近傍で水素放出が最大となり、その後急激に水素の放出が低下し、無応力状態での水素放出より低下する。弾性変形後期の水素放出は、格子膨張による効果であり、降伏点近傍での水素放出は、刃状転位による水素の輸送に起因し、その後の水素放出の低下は、転位密度の増加とともに平均転位移動速度が低下し、さらに結晶粒界などに転位がpile-upすることに起因すると推察される。さらに、無応力状態での水素放出より低下する理由は、転位間の相互作用により水素トラップサイト(主に転位、原子空孔)が形成し、これが水素放出の抑制作用をして作用したことが原因と考えられる。以上、高強度鋼の変形過程における水素-転位ダイナミックスの検出に成功し、平成20年度に得られた高強度鋼における水素放出挙動をより詳細に検討し解明できた。
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Research Products
(10 results)