2006 Fiscal Year Annual Research Report
六方晶金属・合金の室温クリープにおける転位メカニズムの検討
Project/Area Number |
18360342
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
佐藤 英一 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 教授 (40178710)
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Keywords | 強度 / 靭性 / 破壊 / 疲労 / クリープ |
Research Abstract |
本研究は、六方晶金属に生じる室温クリープのメカニズムを解明することを最終目的とし、典型的な六方晶金属でありc/aの異なるCP-Ti、Mg、Znの圧延焼鈍材料を試料として、TEM観察によりクリープ変形中に働く転位の特徴を調査した。 クリープ試験後行ったTEM観察の結果、六方晶金属のすべてにおいて同様な、直線的に配列した転位列を観察した。CP-Ti、Znにおいては、パイエルスポテンシャルが低いすべり系が働いていることが確認できたが、Mgにおいては、底面すべりと柱面すべりのそれぞれ一方のみが活動している粒が観察された。どの場合でも、同一粒内で、すべり系は二つ同時には働いておらず、一つの粒内で活動しているすべり系は一つのみであることが分かった。したがって、室温クリープでは、対称性が少ない六方晶系のため、例えば、底面すべりのみが活動する場合、転位の切りあいは発生せず、転位の動きを阻害するものがないことから、クリープ変形を継続できると考えることができる。しかしながら、一つの粒で一つのすべり系しか働かないならば、何らかの緩和機構が働かない限り、粒界には転位が堆積していくはずである。一方、変形の見かけの活性化エネルギーは10-18kJ/molと非常に小さかった。それにもかかわらず、粗大粒試料ではではクリープ変形が継続しなかったため、このことからも粒界での緩和機構が必要であることが分かった。今後、粒界での緩和機構が解明する必要がある。
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Research Products
(2 results)