2008 Fiscal Year Annual Research Report
雰囲気制御型走査プローブ法によるダイヤモンド表面のナノ化学修飾
Project/Area Number |
18360348
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
光田 好孝 The University of Tokyo, 生産技術研究所, 教授 (20212235)
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Keywords | ダイヤモンド / 走査型プローブ顕微鏡 / 化学修飾 / 表面 / 雰囲気制御 |
Research Abstract |
本研究では,ダイヤモンド表面の電気伝導性を変化させる終端原子(水素・酸素)に着目し,超高真空雰囲気における表面解析を通じて熱力学情報を得る。それを元に、走査型プローブ顕微鏡を利用した電子衝撃反応を用いて、ダイヤモンド表面の原子の吸着・脱離過程のin-situ測定と制御を目的としている。こうした研究は表面伝導を用いた新規のデバイスの作成に加え、プラズマ中でのダイヤモンドの成長機構の解明にも極めて重要な課題であると言える。 本年度においては、水素終端されたダイヤモンド表面に対して、大気環境下での表面改質実験を行った。SPMプローブの電流像からは伝導性を有する領域と絶縁領域が明瞭に区別できることが見出された。電界研磨によって得られたタングステンプローブによる±10Vの電圧印加領域において、伝導領域の変化は生じていなかった。これより、表面C-H結合の解離に必要な実質のエネルギー、フラックスが少なくともそれぞれ10eV、1nA/φ1μm≒1kA/m2程度であることが見積もられた。このことは超高真空中でφ10nm以下のスポットサイズに10-100nAの電子を照射可能なAESなどを用いた置換反応実験の必要性を示唆している。最終年度において高真空中での電子線照射による終端元素の変化を観察することを試みある。 他方、硫黄ドープされたダイヤモンドを対象にバルク/表面伝導を測定した。堆積されたままの薄膜においては、硫黄濃度に依存しない高い伝導度が得られた。これは水素終端された表面伝導に起因するものと推測された。他方、大気圧環境において800℃の熱処理を行うことで表面伝導性は消失し、硫黄ドーパントに比例する電気伝導度が観測された。
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