Research Abstract |
本研究では,難加工性硬質金属材料をも対象とできる,革新的部材創製技術としてのコールドスプレー法の確立を目的とする。このため本年度は,まずは軟質金属粒子における付着機構ならびにプロセス諸因子の影響を精査した。具体的な研究計画として,1)数値シミュレーションによる最適ノズルの確定,2)最適形状・寸法ノズルの製作,3)作製ノズルでの投射実験における装置動作状況の確認,4)Cu粒子の臨界速度調査ならびに臨界速度の意味検証,5)軟質金属材料における付着機構の把握,の各研究課題に取り組んだ。 その結果,1)数値解析により,粉未軸送給低圧(1MPa以下)型,および粉未のど部直後投入高圧(1MPa以上)型の両圧力範囲対応の最適ノズル設計を行った,2)最適設計に基づき,最適形状・寸法ノズルを製作した,3)作製ノズルでの粉未投射実験による装置動作状況を確認した,4)Cu粒子を用い,ガス圧力,ガス温度,ノズル/基材間距離の変化に伴う粒子付着率の変化を系統調査し,粒子付着における臨界条件を求めた。また今回本予算により導入した低温粒子速度測定装置を駆使し,付着における臨界速度を求めた。これらの結果を総合し,5)軟質金属材料における付着機構の把握として,作動ガス温度の制御が付着効率の向上に効果的に作用することを明らかにした。また得られた結果の中で,特に,衝突粒子の速度より粒子温度や基材温度の方が粒子堆積の促進に大きく影響すること,したがって,粒子堆積の影響因子として,衝突粒子および基材の温度が共に相関し合う衝突時の粒子温度が支配的に関与するとの,従来にない新規知見を見出した。
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