2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18360363
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安斎 浩一 東北大学, 大学院工学研究科, 教授 (40232087)
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Keywords | 鋳造 / シミュレーション工学 / 凝固解析 / 湯流れ解析 / 変形解析 |
Research Abstract |
引け巣や鋳物の変形といった致命的な鋳造欠陥は、伝熱・凝固・流動・変形といった現象が同時並行的に進行する中で発生する。しかし、従来の鋳造シミュレーションは、解析アルゴリズムに差分法や有限要素法といったオイラー系解析手法を採用しているため、伝熱・凝固・流動・変形解析を個別もしくは部分的に連成させて解析せざるを得ず、解析精度に限界があった。そこで、本研究では、ラグランジュ系の数値解析手法である粒子法を採用することにより、伝熱・凝固・流動・変形を統合した連成解析を可能とする数値解析手法の研究に着手することとした。本研究により、引け巣や変形をより実際に近い条件で解析することが可能になるはずである。本年度の研究成果は以下の通りである。 まず、MPSと呼ばれる粒子法を基本としたアルゴリズムの基礎的検討を行った。具体的には、基礎式を構築する際に基本となる勾配・発散・ラプラシアンの計算モデルについて検討を行い、高精度な解析を可能とする計算手法を決定した。そして、その成果を基に流動解析、伝熱解析、凝固解析のためのプログラムをそれぞれ完成させた。次に、これらの解析を一連の解析として実行するプログラムとして一体化し、湯流れ充填後に凝固収縮および熱収縮する様子をシームレスに解析することに成功した。その他、三次元化、汎用プリ・ポストプロセッサCADASへの対応、STLを入力ファイルとする専用自動メッシヤーの開発、最適なポアソン方程式解法の検討などを行い、性能および作業性を格段に向上させることに成功した。今後は、変形解析を導入することによる引け巣および鋳物変形の直接解析、鋳型の変形、最適化支援ソフトウェアへの対応、実験結果との比較など、実鋳造問題を視野に入れた開発を行っていく。
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