2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18360363
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安斎 浩一 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 教授 (40232087)
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Keywords | 鋳造 / シミュレーション工学 / 凝固解析 / 湯流れ解析 / 変形解析 |
Research Abstract |
近年コンピュータの発達により, 様々な製造プロセスにおいて数値解析の援用が盛んになっている. 鋳造は伝熱・凝固・湯流れ・変形など多くの現象が複雑にからみあっており, 解析にあたってはそのすべてを同時に解かない限り, 欠陥の予測はあくまで間接的なものに過ぎなくなってしまう. 現在市販されているソフトに多用されるオイラー系格子法では上記の現象を同時に解くのは原理的に困難が伴う. 一方, 近年急速に発展を見せている粒子法は計算点である粒子が空間内に自由に配置・移動可能であるため, 様々な現象のモデル化・連成が容易な手法である. そのため, 粒子法は主要な現象を連成させ, 統合的に解析を行うための最も有力な手法のひとつといえる. そこで, 本研究では鋳造分野にほとんど適用されていない粒子法の基礎から開発・検討を行い, 鋳造分野への適用性を検討した. 本年度はまず湯流れ解析の精度を向上させるための基礎データを収集するため, 圧力の緩和に関する調査を行つた. 一般に非圧縮性流れ解析に用いられる半陰解法では圧力のボアソン方程式を1回のみ解く. 一方本研究において提案する方法ではこれを複数回解くことで, 精度および解析の安定性が大きく向上することを示した. また表面張力モデルを開発し, 導入することで薄肉部における流入抵抗を良く再現できることを示した. そして伝熱・凝固解析と連成させ, 密度および粘性の温度依存性を導入した. さらに, 収縮を再現するため負圧を安定に解析する手法を提案した. これにより, 凝固収縮や凝固膨張が生じるSnおよびBiの凝固変形・膨張挙動, そして収縮と膨張が同時に生じる複雑問題への適用性を示した. 以上より, 本研究は鋳造問題の統一解法の第一歩として, その基礎を示すことができた.
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