Research Abstract |
シングルナノ領域の粒子により構成される微粒子集合体材料は,量子サイズ効果,高い表面活性,およびその集積による従前にない高機能の発現などが期待されることから,その構造制御法の確立が重要な課題となっている。しかし,シングルナノ粒子特有の高い凝集性と強いBrown運動が,ナノサイズ領域での秩序構造形成を極めて困難にしている。このような現状に対して,本研究では,デンドライトをナノ粒子の生成場および保護層として活用することで,高い表面活性を保ちつつ分散安定化を可能とし,「外部電場」と「制限空間」とを組み合わせることで,制限空間内で重畳した特有の引力場を創出し,ナノ粒子集団構造の秩序性を制御しうる手法を構築することを目指す。 本年度は,スリット空間内部に閉じ込めたサスペンションの電位印加による,集団構造変化について検討を行ない,可逆なソフトコロイド結晶の作製に成功した。具体的な手順・結果は,以下の通りである。絶縁のため中央を幅10mm,深さ50μmに削ったITO電極を,厚さ25μmポリエステルフィルムをスペーサーとして離して貼り合わせ,周囲をシールしたスリット状のセルを構築した。セル内にサスペンションを封入した後,同電位の面が対向するように直流電圧を印加したところ,電極板付近に,虹彩が観察された。Bragg反射波長の測定から,虹彩がソフトコロイド結晶であることを確認した。形成されたコロイド結晶を,陽極スリット間に大面積に形成することは来年度の課題となるが,印加電圧および塩濃度を変化させることで,結晶の周期性およびドメインサイズの制御が可能であることを示したことは,大きな成果であると言える。
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