2008 Fiscal Year Annual Research Report
気相法による表面形成においてナノサイズクラスターの堆積が果たす役割の解明
Project/Area Number |
18360376
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
島田 学 Hiroshima University, 大学院・工学研究科, 教授 (70178953)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
汪 偉寧 広島大学, 大学院・工学研究科, 助教 (20467765)
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Keywords | ドライプロセス / ナノ粒子 / 薄膜 / 融合 / 輸送現象 / 沈着 / プラズマ場 |
Research Abstract |
本研究では、薄膜形成のためのドライプロセスにおいて、クラスター状の気中浮遊物質の堆積が有効となったり、あるいは望ましくなくなったりする条件を明らかにするために、クラスターおよびナノ粒子を固体表面に気相輸送し、付着させて、これにより生じる薄膜の形態などの性状と付着・堆積条件との関係を、主に実験的に解明することを目的として研究を行った。本年度の研究成果の概要は、以下のとおりである。 1.ナノ粒子およびクラスターの性状およびプラズマ電場の影響をより明確にできるように、前年度まで用いてきた実験装置を改良した。 2.堆積実験後の試験片表面、断面の観察、計測、および試験片の質量増加速度のモニタリングにより、クラスターの基板への到達頻度、輸送場の圧力、基板温度などの条件と堆積表面の形状の関係を明らかにした。堆積物の移動、融合により形成された島状構造、塊状・突起状形態の代表的サイズは、主に到達頻度と温度の増大により大きくなることがわかった。 3.分子状物質の堆積によって膜生成が起こる状況下で、ナノ粒子・クラスターが同時に堆積する場合の表面形態の検討を行ったところ、数十nm前後のサイズの粒子の堆積によって平坦膜の形成がもっとも阻害されることがわかった。 4.これまでの実験結果をふまえて薄膜形態の形成過程のモデルを考察し、膜の表面および内部の形態を決定づける主要な因子は、クラスター、粒子の表面への到達頻度と、表面移動、融合の時間スケールであることを明らかにした。粒子サイズ、濃度、沈着速度、気相輸送場の変化ならびに電場の影響の有無で生じるこれらの時間スケールのび相対的な違いにより、稠密な平坦膜、単位構造の大きい粗面膜、多孔のナノサイズ構造を有する空隙膜などがそれぞれ形成される条件が生じることがわかり、目的とする形態の薄膜をクラスター、ナノ粒子堆積によって形成するための指針が得られた。
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Research Products
(2 results)