2006 Fiscal Year Annual Research Report
高圧二酸化炭素の化学的機能を利用した液相有機合成の反応促進と選択性制御
Project/Area Number |
18360378
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
荒井 正彦 北海道大学, 大学院工学研究科, 教授 (60125490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下川部 雅秀 大学院工学研究科, 助教授 (40125323)
藤田 進一郎 大学院工学研究科, 助手 (80156869)
岩佐 信弘 大学院工学研究科, 助手 (30223374)
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Keywords | 超臨界二酸化炭素 / 特殊反応場 / 選択的水素化 / 反応選択性 / 圧力効果 / 反応制御 |
Research Abstract |
本研究では二酸化炭素加圧下で液相反応を行い,反応制御因子としての加圧二酸化炭素の有効性を実験的に検討した。対象反応として,気体を反応物として含む水素化反応と気体反応物を含まないHeckカップリング反応を選択した。 1.水素化反応 反応後の分離操作を考えて多相系を検討した。水溶性のRu錯体を触媒とし,水-二酸化炭素及び水-トルエンニ相系でシンナムアルデヒド水素化を行い,触媒相のリサイクルの可能性を探った。最初の反応では不飽和アルコールが高選択的に得られるが,分離後再使用すると飽和アルデヒドの選択性が上昇した。反応中に生成する不飽和アルコールが配位子として作用し,活性な錯体の構造が変化してしまうためと考えられた。 類似反応基質のシトラールの水素化では,二酸化炭素加圧によりカルボニル基の水素化が促進されることが分った。 2.Heckカップリング Pd-TPP錯体を触媒,塩基として酢酸カリウム,溶媒としてトルエンを用い,アクリル酸メチルと各種のハロゲン化アリールのHeck反応を二酸化炭素加圧下で行った。圧力の影響は反応基質で異なった。2-ブロモアセトフェノン,2-ブロモベンズアルデヒドの場合,反応転化率は二酸化炭素圧力(11MPaまで)とともに単調に減少した。ヨードベンゼンの場合も転化率は低下するものの,その程度は小さかった。興味深いことに,エチルトランスーn-ブロモシンナメイトの場合,8MPaから11MPaまで加圧すると転化率が約50%向上することが分った。反応液相に二酸化炭素が溶解して反応物濃度が低下すること(希釈効果)を考えると,前三者の場合も転化率減少の程度は小さいと思われ,他の効果があるのではないかと推測している。気体反応物を含まない反応でも二酸化炭素の加圧効果が期待できる可能性のあることが分った。
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Research Products
(3 results)