2007 Fiscal Year Annual Research Report
高圧二酸化炭素の化学的機能を利用した液相有機合成の反応促進と選択性制御
Project/Area Number |
18360378
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
荒井 正彦 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 教授 (60125490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下川部 雅英 北海道大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (40125323)
藤田 進一郎 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教 (80156869)
岩佐 信弘 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教 (30223374)
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Keywords | 超臨界二酸化炭素 / 特殊反応場 / 選択的水素化 / 反応選択性 / 圧力効果 / 反応制御 |
Research Abstract |
本年度は,昨年に引き続き二酸化炭素加圧下で液相反応を行い,二酸化炭素加圧の反応制御因子としての有効性を実験的に検討した。HeckカップリングとDiels-Alder反応を対象とした。更に,これまでの断片的な研究結果から,有機化合物のある種の官能基は高密度二酸化炭素と相互作用することが知られているが,本年度はこの相互作用について系統的な検討も行った。 1.加圧効果アクリル酸メチルと各種の臭化アリールのHeck反応を行い,ある構造の臭化アリールでは二酸化炭素の加圧により転化率が向上し,おおよそ3MPa付近で極大となることが認められた。二酸化炭素は反応物ではないにも拘らず,単純な加圧操作でHeck反応を促進できることが分った。反応系の目視観察によれば圧力増加にともなって二酸化炭素の溶解による反応液相の膨張が認められた。この液相膨張(体積増加)は反応物濃度の低下を招くにも拘らず反応速度が向上したことから,液相に溶解した二酸化炭素分子と反応種の相互作用が重要と考えられた。イソプレンと各種のカルボニル化合物のDiels-Alder反応では,液相膨張-濃度低下による影響が支配的であり,反応速度は二酸化炭素の加圧により低下した。しかし,生成物のパラ体とメソ体の比は加圧によって変化し,圧力の増大とともにパラ体の比率が大きくなることが分った。この生成物分布の変化は,ジエノフィルのカルボニル基と二酸化炭素分子の相互作用によるものと考えられた。 2.相互作用高圧その場赤外分光法を用いて,それぞれ構造の異なるケトン,エステル,アミド化合物と高密度二酸化炭素の相互作用を系統的に調べた。カルボニル基の赤外吸収ピーク位置のシフトから,二酸化炭素圧力と置換基の位置と種類によって相互作用がどのように変化するかを明らかにした。
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Research Products
(5 results)