2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18360379
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
新井 邦夫 東北大学, 名誉教授 (10005457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SMITH Richard Lee Jr 東北大学, 大学院環境科学研究科, 教授 (60261583)
渡邉 賢 東北大学, 大学院工学研究科, 助教授 (40312607)
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Keywords | 超高圧 / 超臨界水 / 糖 / 化学原料 / バイオマスリファイナリー / 木質バイオマス / インテンシファイアーポンプ / 水熱ダイアモンドアンビルセル |
Research Abstract |
地球上唯一の循環型炭素資源である植物系バイオマスから様々な化学製品を合成する「バイオマス・リファイナリー」こそが、持続可能な社会構築を目指す次世代の産業基盤の一つとなる。特に、次世代に繋がるバイオマス・リファイナリーにおいては地球環境に負荷のないグリーンプロセスでなければ意味がないことは自明であり、バイオマス変換反応の媒体は水やCO_2など地球環境に適合した溶媒に限定されなければならず、有機溶媒や触媒の使用は極力抑えることが望ましい。こうした背景のもと申請者らは、地球環境にも適合し、かつ植物系バイオマスの体内に豊富に含まれる水をそのまま反応媒体として用いる「高温高圧水バイオマス・リファイナリー」の開発に向け、様々な研究を行ってきた。これまで、木質バイオマスから高純度なセルロースが回収できること、および単糖類を高収率に生成するための必要条件がほぼ決定できたこと、などバイオマス・リファイナリーに資する知見が獲得できた。それに対し、グルコースまたはフルクトースから多くの有用物質(乳酸やHMFなどポリマー原料もしくはポリマー原料前駆体など)がワンポットで得られることを明らかにしたものの、従来の条件(200〜400℃、1〜40MPa)では高い選択率で得られる生成物は極少数であり、選択率を上げるためには更なる広範囲な圧力条件での検討が望まれるという結論に至った。本年度は、圧力の反応制御性に関する知見を得るため以下の検討課題について検討を行った。 1.装置設計・作成:幅広い反応時間を確保するために幅広い流量に対応することが望ましく、したがって低流量においても300MPaを保持できるポンプが必須となる。そこで本申請ではまず、より高圧に対応するためにS2をさらに小さくし、高流量にも対応するようにシリンダーのストローク長もより長くとり、さらに圧力変動を抑えるために、ポンプヘッドを2つとりつけたポンプの設計・作成を行った。その結果、所望の圧力にて所望の反応時間を到達する装置試作を行うことができた。 2.糖の高温高圧水中反応における超高圧の影響の解明:従来の100MPaまで対応するポンプを設置した流通式装置により、糖類(グルコースおよびフルクトース)を原料として反応温度、反応圧力、反応時間などとの関係を詳細に検討した。その結果、圧力に応じて変化する反応経路を把握することができ、反応制御性について多くの知見を得ることができた。 3.水熱ダイアモンドアンビルセル(HDAC)による超高圧での反応挙動のin-situ測定による超高圧の影響の理解:HDACを用いて反応のin-situ観察を行い、糖類の反応に及ぼす超高圧の影響を詳細に検討し、圧力の効果について可視的な情報を得た。
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Research Products
(2 results)