2006 Fiscal Year Annual Research Report
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18360399
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井嶋 博之 九州大学, 大学院工学研究院, 助教授 (10274515)
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Keywords | 人工肝臓 / 共培養 / 肝細胞 / 肝非実質細胞 / 類洞内皮細胞 / コラーゲンゲル / 組織体 / アルブミン合成 |
Research Abstract |
本研究課題では、完全置換型人工肝臓開発を目標とし、毛細血管網を有した新規肝細胞組織体構築による肝機能発現とその維持を達成できる培養系の構築に取り組んでいる。本年度の研究実績は以下の通りである。 【コラーゲンゲル内における肝細胞共培養】 肝芽腫由来肝細胞株(HepG2)とウシ動脈由来血管内皮細胞(BECs)を用いたコラーゲンゲル内共培養において、HepG2細胞によるスフェロイド形成やBECsに起因する管腔形成は確認されたものの、肝機能発現の向上は見られなかった。一方、コラーゲンゲル内培養において、培養9日目では初代ラット肝細胞単独培養系はアルブミン合成活性をほぼ喪失したのに対して、初代ラット肝実質細胞と初代肝非実質細胞との共培養系は培養初期の約70%の活性を保持していた。さらに、初代ラット肝実質細胞と初代肝類洞内皮細胞との共培養により、培養期間を通してアルブミン合成活性の低下は観察されなかった。 一方、細胞低接着性表面における初代細胞共培養系において、スフェロイド形成とその維持に効果が見られた。肝細胞の10倍量の肝非実質細胞との共培養により、培養3週間後でも初期の約60%のアルブミン合成活性を発現し、肝細胞の5倍量の類洞内皮細胞との共培養では培養11日目において約2倍の活性を発現した。 【ゲル充填スカッフォルド培養系の構築】 親水化処理した多孔質スカッフォルドに遠心法もしくは滴下法を用いることで、その細孔内へ10%までのゼラチン溶液が良好に浸潤できた。さらに、酵素を用いることで細胞懸濁ゼラチン溶液をゲル化させることに成功した。ここで用いた酵素の細胞障害は現在までのところ観察されていない。
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