2007 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙環境シミュレータによる次世代イオンエンジン搭載宇宙機のプラズマ干渉解析・評価
Project/Area Number |
18360405
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
臼井 英之 Kyoto University, 生存圏研究所, 准教授 (10243081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國中 均 宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 教授 (60234465)
大村 善治 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (50177002)
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Keywords | イオンエンジン / プラズマ干渉 / プラズマシミュレーション / 宇宙機 / 宇宙環境 / 電子中和 / 宇宙環境シミュレータ / 帯電 |
Research Abstract |
平成19年度は、イオンエンジン近傍のイオンビームの中和電子ダイナミクスとそのパラメータ依存について計算機シミュレーション解析を行った。JAXAにおいてイオンエンジン内のイオン加速グリッド損耗の解析ツールを開発中であるが、イオンビームを中和する電子には温度一定を仮定したモデルを用いている。電子モデルはイオンビーム領域の電位分布に影響を与えるため、それによって加速されるグリッド損耗イオンやCEXイオンなどのダイナミクスも影響を受ける可能性がある。結果としてグリッド寿命評価にも影響を与えかねない。地上実験では中和電子パラメータの計測は非常に困難であるため、本研究では、電子を粒子として扱い、イオンビーム中和における電子分布や温度分布についてシミュレーション解析を行い、温度一定の電子モデルとの違いについて検討を行った。イオンビームについては定常的な分布モデルを用い、それによって得られる電位分布中に中和電子を放出しその定常解を求めることにより電子分布を得た。その結果、各イオンビームレットの境界領域においてその内部よりも電子温度が若干高めであることがわかった。境界領域において電位空間変動が大きいために電子の加熱が局所的に生じている可能性を示唆するものである。今後、イオンエンジンからのイオンビーム全体に対する解析を行う必要がある。 一方、シミュレータの高性能化に関しては、イオン噴射口の高密度プラズマ領域をモデル化する検討を行った。背景プラズマに比べて桁違いに高い密度となるイオンビーム領域では、そのデバイ長が非常に短い。粒子シミュレーションでは、空間グリッド幅をデバイ長程度に取る必要があり、高密度ビーム領域を含めた空間に取り入れるには、膨大な空間格子数が必要となる。これを回避するために、局所的に空間格子を小さくできる非一様格子システムを粒子法に導入する必要があることがわかった。
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Research Products
(5 results)