Research Abstract |
2006年9月,12月,2007年2月の計3回,高知県海洋深層水研究所地先海域において潜水および船上からの撮影を行い,海藻および藻食動物の優占種および現存量を調査するとともに,ムラサキウニをサンプリングして生殖腺指数を調べた.また,三津漁業協同組合および室戸漁業協同組合高岡支所の漁獲統計データの分析,地元漁師へのヒアリング,対象魚種の胃内容物確認を行い,藻食性魚類の優占種および現存量について調べた.その結果,対象海域における海藻優占種はマクサ,トゲモク(潜在的優占種)の2種であり,クロメは25kmほど北の海域には自生していることがわかった.また,現地海域は典型的な磯焼け状態であり,ヘリトリカニノテやサビモドキなどの,有節,無節サンゴ藻が優占していることがわかった.一方藻食性付着動物の優占種はムラサキウニであり,藻食性魚類の優占種は,ブダイ,イスズミ,ニザダイであることがわかった.さらにムラサキウニの現存量は海藻の現存量と正の相関があり,生殖腺指数は,冬場は低く,夏場は急激に高くなることがわかった.また漁獲統計データより,漁獲効率および藻食性魚類の現存量を推定した. 2006年12月,2007年1月,2月の計3回,現存量調査の際にサンプリングしたウニの個体を用いて,高知県海洋深層水研究所に設置した直径380mm×高さ315mmの円柱型水槽を使って生物実験を行った.水槽は常に海水を交換させており,表層水・深層水をそのまま使うことに加え,表層水と深層水を50%ずつ混ぜた混合槽をつくることによって水温に変化を生じさせた.その結果,ムラサキウニのクロメとマクサに対する摂餌率は,カジメと同様水温が高いほど高くなる傾向を示すが,その値はカジメより低くなることがわかった.また密生による摂餌制限,石灰藻の分泌物による影響は見られなかった.さらにムラサキウニの摂餌に強い嗜好性は無く,付近にある海藻から摂餌を行うことがわかった.
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