2007 Fiscal Year Annual Research Report
超長期透水現象予測を目的とした断層の分布・物性の高度空間モデリング
Project/Area Number |
18360430
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小池 克明 Kumamoto University, 大学院・自然科学研究科, 教授 (80205294)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 晃 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (40305008)
磯部 博志 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (80311869)
大村 誠 高知女子大学, 生活科学部, 教授 (70223956)
|
Keywords | 亀裂データ / 地質モデル / 確率的シミュレーション / 地球統計学 / 透水テンソル / 浸透率 / インバージョン解析 / 放射性核種濃度 |
Research Abstract |
前年度に引き続いて岐阜県東濃地域を対象とし、主に19本の深層ボーリングデータを解析に用いた。解析領域は東西12km・南北8km、深度方向1.5kmと広く設定した。データのうち地質の種類などのスカラー型に対しては、歪エネルギーの最小化法と確率シミュレーションを組み合わせたOPTSIM、亀裂などのベクトル型に対してはGEOFRACを適用した。地球統計学を応用したGEOFRACは、亀裂密度分布の算定、方位データの区分と空間的相関構造の抽出、亀裂中心点の発生と方位の割り当て、亀裂の連結、亀裂面の近似から構成される。以下に主な成果を纏める。 1.褐色化亀裂に注目し、断層と考えられる連続性の良い亀裂の分布を重ね合わせたところ、亀裂の密集域と卓越方向が明らかにでき、既知の断層(月吉断層と次月断層)の位置に対応した。亀裂の褐色化は酸化性の地表水と岩石との反応によって形成される鉄酸化・水酸化物として観察されるので、この亀裂密集ゾーンは、地表から地下深部まで連続し、かつ高い透水性構造として機能している可能性が高い。 2.代表的な地質物性である比抵抗とP波速度の3次元分布がOPTSIMによって詳細に明らかにできた。これらの物性と、断層と考えられる亀裂の分布を重ね合わせたところ、比抵抗やP波速度の急変部に亀裂が存在し、透水性の高いゾーンの抽出が可能になった。 3.亀裂方位の区分法を改良したところ、花崗岩体上部における水平方向の割れ目帯の存在形態が明らかになるとともに、卓越方向によって亀裂幅が異なり、透水性も大きく変化することなどが推定できた。 4.10m間隔のDEMデータによる多方位陰影図を用いて、リニアメント解析を行ったところ、断層に近い亀裂とリニアメントとの卓越方向は調和的であった。よって、地形に現れている亀裂付近には、それと方向が調和した連続性の良い亀裂が岩体中に多く、かつ密に存在していると推察できた。
|