2006 Fiscal Year Annual Research Report
イオンビームを用いたナノ領域の化学形態分析法の開発
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18360450
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山崎 浩道 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 教授 (00166654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松山 成男 東北大学, 大学院工学研究科, 助手 (70219525)
菊池 洋平 東北大学, 大学院工学研究科, 助手 (50359535)
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Keywords | イオンビーム分析 / ナノビーム / 化学形態 / 荷電粒子励起X線分光法 / ラザフォード後方散乱法 / 透過イオン分光法 |
Research Abstract |
本研究では、加速器からの陽子ビームを数十ナノメートルのスポットに絞り込んで試料表面を二次元走査するナノ陽子ビームラインを構築し、PIXE法をはじめとする種々のイオンビーム分析システムを組み合わせることにより、ナノ領域の空間分解能で元素の分布測定することにより、環境水中の各種化学条件下における核燃料物質や有害元素の化学形態を調べることの出来る分析システムを構築することを目的とします。 ナノビーム形成のためには加速器をはじめとする機器の安定化が必要不可欠です。そこで、本年度は、加速器の電圧安定化、ビームライン制御電源の安定化を図りました。その結果、ビーム径が400×400nm^2のナノビームを数10pAの強度で得られるようになり、サブミクロンの分解能で分析が可能となりました。更に、グリッドシャドー法を用いてナノビーム形成システムの寄生、国有収差を測定したところ、収差は十分に小さく抑えられており、数10ナノメートルのビーム径を達成するだけの性能を備えていることが分かりました。この事は、加速器のビーム輝度を向上させることにより、ナノビーム領域での高感度分析が可能であることを示しています。 次に、ナノイオンビーム分析システムの開発を行いました。ナノメートルの空間分解能で化学状態を分析するには、水素から重金属を同時に分析する必要があります。そこで、Na以上の元素を分析可能な、PIXE法、He以上の軽元素を分析可能なRBS法、水素分析が可能なoff-axis STIM法の3種のイオンビーム分析法を組み合わせることにより、水素から重金属までを分析することの可能なシステムを構築しました。ここでは、マルチパラメータデータ収集システムを導入することにより、3種のイオンビーム分析を同時に行う事が可能となりました。現段階ではナノビームシステムのビーム強度はまだ十分でないため、分析時間が長くなることが考えられましたが、ビームのスキャンパターンにSTIM法にて測定した試料形状を反映させるシステムを新たに開発することにより、測定時間短縮を達成しました。
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Research Products
(4 results)