2006 Fiscal Year Annual Research Report
二電極電位差滴定法による環境中の不均質有機コロイドと金属イオンの相互作用の研究
Project/Area Number |
18360451
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
杤山 修 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (70005479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桐島 陽 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (00400424)
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Keywords | 放射性廃棄物 / 地層処分 / フミン物質 / 錯生成 / 電位差滴定 / 不均質有機物 |
Research Abstract |
フミン物質は、生命活動に由来する種々の有機化合物が分解、縮合を繰り返して生成する、難分解性の高分子の類縁化合物の混合物であり、自然界に広く分布し、金属イオンと強く相互作用して、地下を含む環境中の金属イオンの移行挙動に影響を与えることが知られている。このため、放射性廃棄物の地層処分の安全評価では、放射性核種を含む金属イオンとフミン物質との錯生成相互作用を評価することが必要となる。しかし、その錯生成相互作用は、フミン物質がカルボキシル基やフェノール性水酸基を様々な位置に含む様々な高分子の不均質な組成の混合物であるため、これを単一の化合物と考えて錯生成定数に相当する係数K_<app>を定義すると、この係数は、金属イオンの濃度([M])、pHまたは解離度(α)、イオン強度により変化する。これまで、溶媒抽出法やイオン交換法などの二相分配法を用いて、Np(V)、Eu(III)、Fe(II)、Fe(III)、Ca(II)などについてこの関係を調べ、このみかけの係数が、おおむねlogK_<app>=logK+alogα+blog【[Na^+]+mlog[M]と表されることを見出した。本研究では、イオン電極およびpH電極を同時に用いる二電極電位差滴定法により、pHまたは金属イオン濃度のいずれかを一定に保ちながら、もう一方を変化させることにより、この関係の成立性をより詳細に調べた。この結果、Mがプロトンの場合すなわち酸解離挙動については、カルボキシル基およびフェノール性水酸基に起因すると見られる大きく異なる2組の酸解離挙動が見られ、これを記述するのに2組のlogK_<app>(2組のlogK,a,b,m)が必要であるが、MがCa^<2+>の場合には錯生成挙動は、ほぼ1組のlogK_<app>により記述でき、フェノール性水酸基に起因すると考えられる若干のずれがあることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)