Research Abstract |
本研究はパルス超音波を用いた高精度流量計測法として,伝搬時間差式と流速分布計測式の双方の利点を生かしたハイブリッド型超音波流量計測法を用いて,原子力発電プラントの効率向上による増出力のための高精度給水流量計測システムの開発を目的とし,以下の知見を得た. (1)超音波の金属壁透過を考慮する場合,壁厚さに対する超音波の最適周波数の選択が必要である.最適周波数は壁の材質,厚さおよびセンサの設置角度などに依存するため,現有の音場測定装置を用いて自動計測アルゴリズムを開発し,これを用いて音場解析を行った.実験では,材質の異なるアルミニウム,ステンレス,炭素鋼,真鍮などの金属板を用いて,超音波の測定線方向の音圧を,ハイドロフォンを用いて計測した.使用するハイドロフォンは空間分解能を考慮して新たに設計し,センサ・メーカーに作成依頼した.また,これに伴い液体および固体壁内の音速測定,超音波透過率測定,混入粒子の選定,測定線屈折の測定および最適入射角の選定を行った. (2)本研究で提案している原子力発電プラント増出力のための高精度超音波流量計測システムに適応したハイブリッド型超音波流量計の基本概念を確かめるため,超音波流速計を購入し,これを用いて現有の伝播時間差式超音波流量計の流量補正係数をキャリブレーションし,そのキャリブレーション効果を確認するとともに,センサー設置などの最適条件を調べた.本年度は超音波センサには現有のセンサを使用した. (3)本実験には試験流路および測定部を製作する必要がある.ポンプ,リザーバ・タンク,整流器を含む流路は既に完成しており,測定部の設計および製作を行った. (4)超音波流速分布計測法では超音波反射体が必要である.本研究では,超音波反射体として水素や酸素などの気泡注入を考えており,流れ場は気液二相流となる.そこで,気泡の追従性および気相液相分離方法を考慮しながら,超音波計測の確からしさを調べる必要があり,本研究では,従来申請者らが開発したマルチウェイブセンサを用いた気泡液相同時計測法と高速度カメラシステムを用いた画像処理手法により,気泡注入時の流速分布式超音波流速計の確からしさを調べた.
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