Research Abstract |
前年度までは,InとSbとを石英アンプルに入れ,垂直ブリッジマン法によって単結晶化してきた.この方法によってできたInSb結晶よりもさらに高い比抵抗値を持つ結晶を育成するため,まず,InとSbとを入れた石英アンプルを水平におき,ゾーンメルティングにより不純物の除去を行った.不純物は,石英アンプルの先端と末端に析出するが,これらのうちの末端部分を溶断し,残った部分について,垂直ブリッジマン法により単結晶育成を行った. このため,純度99.9999%のInとSbとを用いた.ゾーンメルト用のヒーターは,磁性管にニクロム線を巻いて製作した.垂直ブリッジマン法により育成したInSb結晶は,先端部分から2mmの厚さにワイヤーソーを用いて切断した.このようにして製作したInSbウエハについてHall測定装置を用いて,比抵抗値,Hall移動度,不純物濃度測定を4.2Kから300Kまでの温度で行った. InSb結晶の中央部分のInSbウエハにおいては,4.2Kにおいて市販のInSbウエハよりも100倍以上高い比抵抗値を示した.伝導性は4.2Kから15Kにおいてはn型であったが,それ以上の温度ではp型を示した.しかし,移動度などは,市販品よりも劣っていた.また,育成したInSbウエハに電極を付け,ダイオードを製作した.このダイオードの電流-電圧特性を温度の関数として測定した.この結果,これまで市販のInSbウエハを用いて製作したダイオードよりも10倍程度高い抵抗値を示した. また,InSbの結晶性を評価するために,X線回折によるロッキングカーブの測定も行った. 今後は,ゾーンメルト法,垂直ブリッジマン法の改良を行うとともに,ゾーンメルト法だけで単結晶を育成した場合について,垂直ブリッジマン法による単結晶と比較する.
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