2006 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化単分子層を用いた細胞膜表面におけるアクチノイドの電子授受機構の解明
Project/Area Number |
18360459
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
大貫 敏彦 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究主席 (20354904)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香西 直文 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 研究副主幹 (80354877)
坂本 文徳 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 研究副主幹 (60391273)
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Keywords | 自己組織化 / 電気化学 / 酸化還元 / ウラン / フェロセン |
Research Abstract |
地下環境におけるアクチノイドの化学状態を明らかにするためには、硫酸あるいは鉄を還元する微生物の細胞膜で起こっている還元機構を解明する必要がある。還元菌とUとの電子授受への膜タンパク質の関与する機構を解明するため、微生物の呼吸に関わる酵素を微生物などから抽出し、模擬細胞膜を作成し、Uなどのアクチノイドと作用させ、酸化還元を直接測定することから電子授受機構を解明する。18年度は、U(VI)の還元挙動を明らかにするため、U(VI)-クエン酸錯体の還元挙動を電気化学的手法により測定し、U(VI)-クエン酸錯体の化学種の違いにより還元電位が変化することを明らかにした。模擬細胞膜を用いる研究として、有機配位子の有機物単分子としてフェロセンを用い金表面に自発的に一分子層だけ配列させて自己組織化単分子層(SAM)を形成する実験を行った。その結果、0.4(V vs.Ag/AgCl)においてフェロセンの還元に起因すると考えられる電流が観測された。電圧掃引速度を変えたところ速度の上昇に伴い電流値が増加した。これらの結果から、フェロセンが金薄膜上に自己組織化したことが確認された。溶液中の陰イオン種を変えて同様に実験を行ったところ、過塩素酸を加えた系で酸化還元電流値が最も安定した。これは過塩素酸系でフェロセンが金薄膜に安定に自己組織化していることを示す。さらに、ウランを加えた系で電位-電流曲線を測定した結果、ウランを加えることに起因して還元電流が観測される電位が変化した。したがって、ウランがフェロセンに吸着し、フェロセンの酸化還元に何らかの作用を及ぼしている可能性がある。
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