2008 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化単分子層を用いた細胞膜表面におけるアクチノイドの電子授受機構の解明
Project/Area Number |
18360459
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
大貫 敏彦 Japan Atomic Energy Agency, 先端基礎研究センター, 研究主席 (20354904)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香西 直文 日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究副主幹 (80354877)
坂本 文徳 日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究副主幹 (60391273)
鈴木 義規 日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 博士研究員 (20455281)
田中 万也 日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 博士研究員 (60377992)
|
Keywords | 自己組織化 / 電気化学 / 酸化還元 / チトクロームC / ウラン / ソーレー帯 |
Research Abstract |
地下環境におけるアクチノイドの化学状態を明らかにするためには、硫酸あるいは鉄を還元する微生物の細胞膜で起こっている還元機構を解明する必要がある。還元菌とUとの電子授受への膜タンパク質の関与する機構を解明するため、微生物の呼吸に関わる酵素を微生物などから抽出し、模擬細胞膜を作成し、Uなどのアクチノイドと作用させ、酸化還元を直接測定することから電子授受機構を解明する。18年度、及び19年度は、模擬細胞膜を用いる研究として、有機物単分子としてフェロセンを用い金表面に自発的に一分子層だけ配列させて自己組織化単分子層(SAM)を形成し、ウラン(VI)の還元に起因した電流を検知するとともに、金薄膜上にチオール基を介して形成した有機酸単分子層に酵母由来のチトクロームCを付加させ、チトクロームCの酸化還元に起因すると考えられる電流を検知できた。20年度は、酵母由来のチトクロームCを付加したITO電極をU(VI)溶液中に浸けて、酸化還元電流の検知を試みた。その結果、U(VI)/U(IV)のレドックス反応に起因すると考えられる還元電流を検知することに成功した。さらに、チトクロームCを付加しないITOを用いて測定したU(VI/U(IV)の還元電流の電位と比較した結果、電位が性電位側にシフトしていることが分かった。この結果は、チトクロームCの触媒作用によるU(VI)への電子の移動を示唆している。酵母はU(VI)を還元することができないことから、酵母由来のチトクロームCがU(VI)に電子を授与するとは考えられなかった。我々のデータは、従来の予測の範疇外のものである、新しい発見と考えられる。今後、チトクロームCを介した電子授受の機構を解明することにより、チトクロームの電子授受機構の新しい機構の発見に繋がる可能性があると考えている。
|