2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18370014
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
経塚 淳子 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (90273838)
|
Keywords | イネ / 腋芽形成 / LAX / 穂の分枝 / 細胞間移動 |
Research Abstract |
植物の胚発生においては芽の先端に茎頂メリステム(SAM)が作られ、植物体地上部の一生にわたる分化が始まる。SAMの活性が維持され、それが新たな器官を作り続けることが植物の生涯にわたる分化を可能にしているが、複雑な形態をつくり上げるために、植物は胚発生後も新たなSAMをつくり枝分かれする。分枝形成が繰り返されることにより個体としての形態がどんどん複雑になる。分枝は腋芽として葉の腋につくられる。腋芽形成では、まず、葉の腋で細胞分裂が始まり新たな分裂組織である腋生メリステム(Axinllary Meristem)が発生し、これが枝として成長する。LAXPANICLE (LAX)はイネ腋生メリステム形成に必須の遺伝子であり、bHLHドメインを持つ転写因子をコードする。 これまで、lax変異体では生殖成長期に限られると考えていたが、改めて表現型を精査した結果、生殖成長期の腋芽形成も阻害されることがわかった。したがって、LAXが全成長相を通して腋生メリステム形成領域の境界部で発現することとあわせて、LAXが腋芽形成の基本的な制御に関わることを示した。 さらに、腋芽形成時のLAXの発現と、変異体での腋芽形成過程やマーカー遺伝子の発現の異常を詳細に調べた。その結果、LAXの発現が開始するのは腋生分裂組織を作るための細胞増殖が開始した後であり、さらに、変異体では腋生分裂組織が作られかけたあとで、その成長が停止してしまうことがわかった。これらの結果から、LAXの機能は葉の腋にできた細胞集団を腋生分裂組織として構築するために必要であると結論した。今後は、このLAXの機能を分子レベルで具体的に突き止めることが次の課題である。
|