Research Abstract |
本研究では実験材料としてタバコBY-2細胞,シロイヌナズナ植物体などを用い,液胞や細胞骨格をはじめとする様々な細胞内構造を蛍光タンパク質などにより可視化した,可視化観察系を確立した。それらの実験観察系を用いて,細胞形態が大きく変化する状況において,細胞内構造の動態を生細胞で経時観察した。この細胞内構造の経時観察には,スピニングディスク式共焦点レーザー顕微鏡(SD-CLSM)と高感度撮像系による多数の共焦点像の高速取得システムを用い,観察対象とする細胞内構造について経時的,立体的に撮像し,画像解析を行った。 本年度の主な成果としては,1)微小管と細胞核,染色体の2重可視化細胞BY-GTHRを用いて細胞分裂中期〜後期の解析を行い,後期の紡錘体伸長を測定し,高等植物細胞では紡錘体伸長による染色体移動への寄与(後期B)が約40%であることを明らかにした。2)タバコBY-2液胞膜型アクアポリン(NtTIP1;1)の過剰発現細胞BY-TIGP細胞のミニプロトプラストは,培地の植物ホルモン組成による細胞伸長の誘導時においてコントロールのBY-GVに比べ,液胞の発達,細胞体積の増加,分裂頻度が著しく亢進しており,NtTIP1;1の関与と考えられた。3)アクチン繊維を可視化したBY-GF細胞の細胞板をFM4-64により生体染色し,両者の動態をタイムラプスイメージングを基に画像解析して,細胞板の発達におけるアクチン繊維の機能解析を行った。4)気孔の開閉は孔辺細胞の体積の増減により行われるが,液胞および細胞骨格に着目し,これらを可視化したシロイヌナズナの孔辺細胞を用いて画像解析を行い,その制御機構に関する新知見を得た。
|