2008 Fiscal Year Annual Research Report
トランジットペプチドを要しない色素体へのタンパク質輸送機構の解明
Project/Area Number |
18370023
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
榊原 均 The Institute of Physical and Chemical Research, 生産機能研究グループ, グループディレクター (20242852)
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Keywords | サイトカイニン / 植物 / タンパク質 / 土壌微生物 / 葉緑体 / アグロバクテリウム |
Research Abstract |
Tzsをシロイヌナズナ内で発現誘導させ、その局在場所を解析したところ、約10%ほどのTzsは葉緑体内部にまで移行していた。この結果は、TzsはTmrがもつ葉緑体内への移行能力を獲得するまでの中途段階にあるものか、もしくはその機能を失う過程のものであることを示唆している。 昨年度までに絞り込んだ移行能力に重要な領域について点変異を導入し、アミノ酸の特定を試みたが、いずれにおいても明確な違いが見られず、複数のアミノ酸もしくは立体的な構造変化が関与している可能性が示唆された。 Tmrのもつ葉緑体内への移行能力が、Agrobacteriumのもつ腫瘍形成能とどの程度関連があるかを検証するために、AgrobacteriumのT-DNA領域内のTmr遺伝子をTzs,トランジットペプチドを付加したTzs(TP-Tzs)、色素体移行型シロイヌナズナIPTであるAtIPT1に置換した変異型Agrobacteriaを作出し、カランコエに感染させ、腫瘍形成を評価した。その結果、TmrをTzsもしくはTP-Tzsに置換えた変異体Agrobacteriumの感染では、サイトカイニン蓄積と腫瘍形成は起こらなかった。また、AtIPT1に置換えたものはイソペンテニル型のサイトカイニンの蓄積はみられたものの、腫瘍形成は野生型に比べ著しく悪かった。野生型Agrobacteriumではトランスゼアチン型のサイトカイニンが蓄積し、かつ腫瘍が形成された。TmrとTzsはサイトカイニン生合成に関する酵素学的性質はほとんど変わらないことから、Tmrの葉緑体移行能力が効率の良い腫瘍形成に重要であることが示唆された。 Tmrの色素体移行への分泌系の関与については、種々の分泌系阻害剤の効果を検討したが、明確にその関与を示す結果は得られなかった。
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Research Products
(4 results)