2007 Fiscal Year Annual Research Report
海水湖で固有進化したクラゲ類に共生する藻類も固有進化するのか
Project/Area Number |
18370032
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
原 慶明 Yamagata University, 理学部, 教授 (60111358)
|
Keywords | 海水湖 / Symbiodinium / タコクラゲ / 固有進化 / 細胞内共生 / ミニサークルDNA / psbA非コード領域 / ハプロタイプネットワーク |
Research Abstract |
パラオ諸島に存在する約52の海水湖のうち9湖には海水湖ごとに5亜種に分化したタコクラゲが生息する。それらのタコクラゲには必ず渦鞭毛植物門のSymbiodinium属藻類が細胞内共生している。本研究は海水湖ごとに固有進化を進めている宿主のタコクラゲとともにその共生体である渦鞭毛藻も固有進化している、ことを作業仮説として実施した。実施に当たっては種以下分類群でも識別できる分子マーカーの探索とその有効性の検証から着手した。以下に本年度の調査と結果を纏めた。 1)進化速度速く、近縁分類群の系統解析に好適な分子マーカーである事が造礁サンゴの共生藻で確かめられたpsbAミニサークルDNAの非コード領域について、単離・培養した海産ラッパムシの細胞内共生Symbiodiniumを用いて、とくにマルチコピーやハプロタイプの有無を検証した。 2)その結果に基づき、パラオ海水湖9湖およびラグーン8カ所より採集したタコクラゲを供試して、psbAミニサークルDNAの非コード領域の塩基配列を決定した。 3)検出できたハプロタイプの近隣接合ネットワークを構築し、海水湖の間、海水湖(湖内)とラグーン(湖外)の間の遺伝的変異の様相を分析し、海水湖毎、海水湖間、海水湖内外のタコクラゲ共生藻の集団遺伝学的特性に基づいて解析した。 4)調査できた9海水湖は海水湖独自のハプロタイプが優占する場合、僅かではあるが海水湖間で共有するハプロタイプが存在する場合、海水湖内外で遺伝的交流の存在が示唆されるようなハプロタイプ構成が存在する場合、海水湖としての隔離がすでに崩壊したと思われる海水湖内外のハプロタイプが混在する場合のおおよそ4つのタイプに類別できることが判明した。 5)日本産(2カ所)のタコクラゲ共生藻との比較も行い、パラオ産共生藻との類縁を解析している。 6)タコクラゲ共生藻の系統的な位置を確認するために、ITS領域の塩基配列を決定し、他の宿主の同属共生藻との系統類縁を解析した。
|
Research Products
(11 results)