2008 Fiscal Year Annual Research Report
海水湖で固有進化したクラゲ類に共生する藻類も固有進化するのか
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18370032
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
原 慶明 Yamagata University, 理学部, 教授 (60111358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 潤 山形大学, 理学部, 准教授 (80272011)
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Keywords | パラオ海水湖 / 地理的隔離 / 固有進化 / タコクラゲ / 共生藻 / 渦鞭毛藻類 / ミニサークルDNA / rbcL遺伝子 |
Research Abstract |
パラオ諸島の海水湖(52湖のうち8湖)にはタコクラゲが地理的・遺伝的に隔離され、海水湖毎に亜種に分化した集団(Dawson & Hamner、2005)が生育している。それらには共通して藻類が細胞内共生している。その共生藻であるSymbiodinium属藻類も固有進化した宿主とともに固有進化しているかどうかを進化速度の速い分子マーカーを用いて調査・解析した。本研究では共生藻類の固有進化の遺伝的分化の機構を解明することを目的とした。進化分析対象が海水湖の成立した1万2千年の隔離期間とすると、進化速度の速い分子マーカーの適用が必須であった。採用したのは共生藻の属する渦鞭毛藻類の葉緑体ゲノムに独特な存在形態であるミニサークルDNA(葉緑体遺伝子1個が1つのミニサークルにコード)を選択し、rbcL遺伝子の非コード領域をマーカーとした。 海水湖内の9集団、海水湖外(ラグーン)の8集団、日本産の2集団の系統解析を行った。その結果、海水湖内集団から多数のハプロタイプ、海水湖外(ラグーン)集団の主要なハプロタイプ、および日本近海から得た集団のハプロタイプを検出し、固有進化の士田を把握した。さらにそれらのハプロタイプネットワークを構築し、海水湖内集団ごとのハプロタイプ組成に基づき、集団遺伝学的な考察を行った。(1)パラオの海水湖内外集団と日本の集団はネットワーク上で明瞭に区別できる。(2)海水湖内集団は海水湖ごとに独特のハプロタイプを持ち、海水湖間、海水湖内外のハプロタイプが識別出来る。(3)海水湖内外、海水湖間の遺伝的交流が一部で認められる。そして、これら共生藻類の遺伝的分化機構は基本的には海水湖毎に固有進化を活発に行っており、さらには海水湖の地理的隔離の程度に依存して、海水湖内外、海水湖間で遺伝的不動が生じ、以下のような共生藻類集団が形成されていることが判明した。I型 : 海水湖独自のハプロタイプのみ)、II型 : 独自ハプロタイプがほとんどで僅かに他の海水湖のハプロタイプが混在、III型 : 独自ハプロタイプがほとんどで僅かに湖外のハプロタイプが混在、IV型 : ほとんどが湖外のハプロタイプで僅かに独自のハプロタイプが残存、となる。
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Research Products
(26 results)