2008 Fiscal Year Annual Research Report
植物における多細胞生物への進化の分子遺伝学基盤の解明
Project/Area Number |
18370034
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 元己 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 教授 (00193524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂山 英俊 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教 (60391108)
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Keywords | ミカヅキモ / シャジクモ / 遺伝子 / 進化 / ゲノム |
Research Abstract |
本研究は、被子植物へと繋がる植物の系統での多様性進化において、多様性創生に関わるもっとも重要なステップの1つである多細胞化について着目し、その分子遺伝学的基盤を明らかにすることが目的である。そのため、系統進化において多細胞化が達成される前段階の単細胞生物であるミカヅキモと多細胞化したシャジクモにおいて、遺伝子の網羅的かつ系統的解析を行い、どのような制御機構や遺伝子ネットワークが多細胞化や初期の器官分化において重要な働きをしたかを明らかにすることが目的である。20年度は以下のような解析を行なった。 1.シャジクモの有性生殖器官,栄養器官のESTの取得 シャジクモの栄養成長時の細胞と有性生殖器官からそれぞれRNAを単離し,cDNAを合成した.両者のcDNAについて均一化したライブラリーを作製してESTを取得した.約6000個について配列決定を行い、プロファイリングを行なった。 2.シャジクモLEAFY遺伝子の解析 LEAFY遺伝子は被子植物のシロイヌナズナでは花の形態形成にかかわるMADS-box遺伝子の発現を誘導する転写因子である。最近の多くの生物における大規模ゲノム解析の結果では、本遺伝子は陸上植物のみからしか報告されていない。一方、本遺伝子は陸上植物の中でもっとも基部に位置するコケ植物のヒメツリガネゴケにおいて、受精卵の第一分裂に端を発する2倍体の細胞分裂全般を制御する因子であることが明らかになっている。そこでシャジクモのLeafy遺伝子の単離、機能解析を行なった。その結果、Leafy遺伝子の相同遺伝子を1個単離することに成功した。これは藻類では初めての記録である。DNA配列決定を行ない、陸上植物の相同遺伝子とともに系統解析を行った。また、リアルタイムPCRによる発現解析を行なった。この結果は日本藻類学会大会で発表した。
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Research Products
(3 results)