2007 Fiscal Year Annual Research Report
セラミド輸送タンパク質CERTのリン酸化修飾の部位決定とその役割
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18370049
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
花田 賢太郎 National Institute of Infectious Diseases, 細胞化学部, 部長 (30192701)
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Keywords | セラミド / スフィンゴ脂質 / スフィンゴミエリン / 脂質輸送 / リン酸化 / 生体膜 / 小胞体 / ゴルジ体 |
Research Abstract |
CERTは、ホスファチジルイノシトール4モノリン酸(PI4P)を認識するPHドメインとセラミドの膜間転移を触媒するSTARTドメインを有し、小胞体からゴルジ体へのセラミド選別輸送を仲介する。PHドメインとSTARTドメインとの間の約250アミノ酸の領域(middle region;MR)には、小胞体との相互作用関わるFFATモチーフが存在するが、MRのその他の機能は未解明であった。本年度は先ず、MRのなかの約20アミノ酸の領域(セリンが3残基ごとに繰り返す領域なのでserine repeat motif;SRMと命名)が多重リン酸化を受けていることを明らかにした。SRMの最初のセリンをアラニンに置換したS132A変異体は、リン酸化を受けなくなった。また、多重リン酸化を擬似する変異体としてSRM中の全てのセリン・スレオニンをグルタミン酸に置換した10E変異体も作成した。HeLa細胞に発現させたCERT蛋白質を精製し、セミインタクト細胞を用いた小胞体-ゴルジ体間セラミド輸送活性検出系で解析すると、S132A変異体は野生型CERTの約3倍の活性を示し、一方、10E変異体はほとんど活性を示さなかった。PI4P結合活性とセラミド転移活性の両方に関して、S132A変異体は野生型CERTよりも高い活性を示し、野生型CERTを脱リン酸化酵素処理すると活性がS132A変異体レベルに上昇した。当該処理の有無に関わらず10E変異体はほとんど活性を示さなかった。しかし、10E変異体のSTARTドメインを切り離すとPI4P結合活性が回復し、PHドメインを切り離すとセラミド転移活性が回復した。これらの結果から、SRMのリン酸化はCERT機能を負に制御していることが明らかとなり、また、SRMのリン酸化によってPHドメインとSTARTドメインとがお互いをマスクするような相互阻害をおこすことが示唆された。
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