2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18370052
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋藤 正男 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (70302239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 敏高 東北大学, 多元物質科学研究所, 講師 (90323120)
海野 昌喜 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (10359549)
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Keywords | 反応機構 / 原子スケール / ヘムオキシゲナーゼ |
Research Abstract |
ヘムオキシゲナーゼ(HO)は、ヘム(鉄-ポルフィリン錯体)を3段階の酸素添加反応により鉄イオン・一酸化炭素(CO)・ビリベルジンに分解する酵素であり、その極めて特異な反応メカニズムに興味が持たれている。本研究では、ヘム分解の主な律速段階に当たるベルドヘム反応に焦点を絞り、X線結晶構造解析・各種分光測定から完全に解明することを目的とする。また、それに基づいた新規HO酵素反応産物の生成機序の確立を目標とする。 ベルドヘム反応をエチルパーオキサイドを酸素源として行ったところ、通常のビリベルジンではなく、エトキシ基を有する開環生成物が得られた。この結果は、Fe-OOR種がベルドヘム開環の重要な活性種であることを示している。しかし、反応収率が低いなどの問題点があるため、次年度はさらに小さなメチルパーオキサイドを用いて同様の反応を行い、メカニズムをより確実に決定する。ベルドヘム-HO結晶の調製については、ヘム-HO複合体結晶を対象として反応条件を厳密に制御し、結晶中のヘムをベルドヘムに定量的に変換することを検討した。現在までに、ベルドヘム直前の中間体であるヒドロキシヘム-HO結晶の調製に成功している。今後、酸素との反応によりベルドヘム結晶の調製を目指す。また平行して、ベルドヘム-HO複合体の嫌気状態での結晶化も検討する。 新規HO酵素反応産物については、LC-MS、MS/MS、1次元NMRなどの測定から、その構造を概ね明らかにし、2種の異性体混合物であることも示した。また、新規産物の化学合成にも小スケールながら成功した。今後、大量調製を行うことにより、2次元NMRによる異性体の同定・生体への直接投与による影響の検討などが可能となった。
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Research Products
(6 results)